カードローン110番 > 審査基準や疑問を徹底解説 > 地方銀行のカードローン審査は甘い?
監修:國弘 泰治
國弘泰治

経歴
MBA・FPオフィスALIVE代表
2011年4月大手流通企業入社するも3か月で退社する
2011年7月実家の酒造会社で販売部門へ入社し、同年9月に店長となる
2014年9月酒造会社を退職し、福岡の投資マンション販売企業に入社し、1年半で退職する。
その後フリーターをしながら、FP資格を取得し、2017年10月にFPオフィスALIVEを開業し、2021年4月に事務所名がMBA・FPオフィスALIVEとなり、現在に至る。

取得資格
MBA(経営学修士:2011年)、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP(日本FP協会)、日本学生支援機構認定スカラシップアドバイザー

ホームページ
https://fp-office-alive.amebaownd.com/

地方銀行のカードローン審査は甘い?

地方銀行はカードローン発行に必死?

最近では、地方銀行などがネットなどでカードローンの広告をしているのを見ることがあります。親和銀行やスルガ銀行などはその例です。

今や地方銀行はこぞって個人融資であるカードローンに積極的に取り組んでいます。昔の地方銀行は、地域の代表的企業として活躍し、地域で最も力を持っていました。

しかし、現在の地方銀行は、昔のように利益をあげられる企業ではなくなり、必死で生き残りを模索しているのです。

地方銀行は地元密着でカードローンを広げようとしている

現在の地方銀行は、日本銀行が長期にわたりマイナス金利を実施しているため、資金の運用利回りは極めて小さくなり、高い金利の取れる個人融資部門に参入せざるを得なくなっています。

しかしながら、個人のカードローンについては、地方銀行はこれまでほとんど行ったことがなく、石橋を叩いて渡ると言われた安全性重視の銀行にとっては、非常に難しい事業なのです。

そのため、地元の資産家や普段から給料の振込みの多い方に狙いをつけて、カードローンを進めるという地元密着でカードローンを伸ばそうとしています。

しかし、それでは融資件数は伸びず、カードローンの融資限度枠を大きくして、優良顧客の融資単価を上げることで、利益をあげようとしているのです。

また、窓口でも積極的に勧誘は行いますが、その審査は極めて成約に至る件数が少ないのが現状です。

地方銀行のカードローンは敷居が高い?

そのため、地域の資産家や一部の高収入の方を除いては、地方銀行でカードローンを申込んでも断られるケースが多く、敷居が高いと言われて、なかなか申し込みそのものも伸びていません。

資産がたくさんあったり、収入の多い方は別にして、一般の方は、カードローンを作ろうと考えた場合には、まず、消費者金融会社などの無人店舗の自動契約機に行ったり、ネットから申込みをされる方が多いのです。

そのために、地方銀行のカードローンは、保有残高は増加していても、件数はそれほど伸びていないのです。

地方銀行のカードローンは甘いのそれとも厳しいの?

従って、地方銀行のカードローンの場合は、利用者から見た場合、資産があったり、高い収入がある方にとっては甘い審査であり、逆にそれのない方にとっては非常に厳しいと感じられるのです。

地方銀行とは

現在では、メガバンク以外の銀行は基本的に地方銀行と言われています。

金融機関としては、信用金庫、信用組合、政府系金融機関などもありますが、銀行と名前についているのは、メガバンクを除きますと、地方銀行だけなのです。

しかも、昔のように堅苦しい名前の銀行だけではなく、ひらかなやカタカナの名前の銀行や、野菜の名前をつけた銀行まであります。

これらの地方銀行について少し見てみることにします。

地方銀行には2種類の銀行があった

地方銀行には、「地方銀行」と呼ばれる銀行と「第二地方銀行」と呼ばれる銀行あります。「第二地方銀行」は一般には「第二地銀」と呼ばれています。

第二地方銀行は、かって相互銀行と言われ、その起源は無尽組織にありました。

無尽組織というのは、地域でお金を出し合って運用して、困った方に融資しようという組織でした。

しかし、高度経済成長の中で、企業の資金需要が強まり、銀行化していき、相互銀行と言われるようになったのです。

高度経済成長が終わった後、相互銀行は第二地方銀行に衣替えしました。

バブル崩壊後の銀行の統廃合による地方銀行の再編

しかし、バブル崩壊後に銀行は大量の不良債権を抱え、経営が成り立たなくなるところが増えてしまったのです。

それは、バブル期に不動産を買い漁る企業や、株式投資に走る企業に融資を収集してしまった結果でした。

その結果、当時の銀行を管轄する大蔵省(現在の財務省+金融庁)は、それまでの銀行の破綻を防止する政策を放棄し、メガバンクでも日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、北海道拓殖銀行などが破綻したのです。

そのため、メガバンク同士の合併が盛んに行われ、地方銀行に関しても地域ぐるみでの統合、合併が行われました。

地方銀行と第二地銀の合併も多く行われ、現在ではその垣根は不明朗になっているのです。

地方銀行には格がある かっての国立銀行の名残りも

また、昔からの地方銀行自身にも、ローカルに行きますとたいてい格式の違う銀行がありました。

一つは、明治維新後、国立銀行としていち早く成立した銀行で、その当時は通貨も発行していました。

従って、ローカルでは非常に格式の高い銀行と言われているのです。「百五銀行」や「百十四銀行」などの漢数字が銀行の前にある銀行は、その名残りなのです。

それよりも後にできた地方銀行よりも格式が高く、地元でもリーダー的存在として高度経済成長期にも地域経済の先導役として活躍しました。

従って、地方銀行は、格式の高い銀行と後発の銀行、それに第二地銀の3つに分類できるのです。

かって国立銀行からスタートした地方銀行はバブル後でも生き残ったところが多く、後発の銀行と第二地銀の統廃合が進みました。

生き残りに必死な第二地銀のカードローン

バブル後には、銀行業界は銀行数が多過ぎると言われて、かなり多くの地方銀行が合併・統合されました。

しかし、バブル崩壊以降、企業はお金を借りなくなり、不動産価格も低下して、担保価値としての評価も難しくなり、企業から儲けを出すことは難しくなっています。

また、バブル崩壊以降の低成長、デフレ景気の中で、金利はどんどん低下し、現在では短期金融市場ではマイナス金利となっています。

そのため、企業に貸せる金利も低くせざるを得ず、利幅は極めて小さくなっているのです。

そのため、体質的に弱い第二地銀やその第二地銀と合併した地方銀行は、新たな利益機会を模索し、結果としては個人融資、すなわちカードローン以外にはその対象がない状況にあります。

第二地銀と地方銀行の違い

かって国立銀行などからスタートした地域の一番銀行と言える地方銀行は、昔からの優良な資産家などを顧客に抱え、アパート経営などへの融資や、安全な不動産を担保にした個人融資ができます。

しかし、それ以外の地方銀行、特に第二地銀の場合には、顧客基盤が元々弱く、優良な個人融資のできる方も少ないため、保証会社などに依存したカードローン発行に力を入れざるを得ないのです。

かっての相互銀行は生き残りに必死

そのため、相互銀行から名称を変えた第二地銀やその第二地銀と合併した地方銀行は、カードローンに依存した経営に移行しようとしています。

地方銀行カードローンは貸金業法の規制はかからない

その地方銀行のカードローンを展開する上において有利に働いたのは、2006年の貸金業法の改正でした。

新しい貸金業法では、上限金利が利息制限法と同じ18%に引き下げられるとともに、総量規制により、消費者金融会社やクレジットカード会社の融資は、年収の1/3までに制限されたのです。

しかし、この貸金業法の規定は、銀行には適用されず、年収が1千万円もない方に対して1千万円を越える融資可能枠のカードローンを発行して、その残高を伸ばしている地方銀行もあったのです。

地方銀行業界は信用金庫などとの競争激化

しかし、地方におけるカードローン事業には、消費者金融会社もあり、さらに信用金庫、信用組合などのより小さな地域密着型の金融機関もあります。

そのため、地方銀行業界は、それらの競争相手との激しい優良顧客の奪い合いが生じています。

消費者金融会社の場合は、ある程度利用者の棲み分けが行われていますが、信用金庫や信用組合などとは顧客層が重複している場合が多く、特に第二地銀の場合にはその傾向が強いのです。

そもそも銀行はまだ多すぎる?

2018年2月末時点での銀行数は、

金融機関名行数
メガバンク5
信託銀行3
地方銀行105
信用金庫261
信用組合141

となっています。地銀と信用金庫、信用組合の合計は507あり、1県あたり10以上の銀行組織があることになります。

すなわち、銀行数はまだまだ多過ぎる状態は解消されておらず、地方銀行は地域に多くある信用金庫、信用組合との個人顧客層の取り合いの状況が続いているのです。

カードローン事業については、地方銀行も信用金庫なども審査ノウハウ、運営ノウハウがないため、手探り状態にあります。

地方銀行のカードローン傾注の原因

では、地方銀行がカードローンに傾注せざるを得ない背景、原因について詳しく見てみることにします。

地方の企業は、バブル崩壊以降、安全性を重視して財務基盤がよくなり、なかなか資金を借りてくれません。

国債による運用も非常に利回りは小さく、利益の出る商品が限られているのです。

地方銀行の役目は既に終わっている

地方銀行は、高度経済成長時代には、地域産業の育成において大きな役割を果たし、地域経済のリーダー的存在になっていました。

しかし、高度経済成長期は終わり、さらにバブルを発生させてしまった結果、地方銀行の本来の地元産業の育成という仕事は既に終わっていると言えます。

日本の中小企業数は、少子化なども影響した後継者不足もあり、減少傾向が続いているのです。

事業所統計によりますと、高度経済成長期後には、600万社を超えていた中小企業は、1999年に483万社へ、そして2014年には381万社にまで4割も減少しています。

従って、地方銀行や信用金庫の融資先もこれに伴って減少しており、しかも、それぞれの企業が安全性重視で借入金を増やさない傾向にあるため、従来の地方銀行の役割はすでに終わっているのです。

地方銀行はカードローン事業に打ち勝てるのか?

そのために、地方銀行は利益を生んでくれる融資先として個人の方を重視せざるを得なくなったと言えるのです。

しかし、地方銀行は、昔から担保主義と言われる、不動産などを担保にとって融資する事業融資しか行っておらず、個人の方への融資はほとんど行っていません。
すなわち、担保物件の評価ノウハウは持っていても、個人の方の返済能力を測るノウハウはないのです。

従って、カードローン市場はほとんど消費者金融会社の独壇場になっています。

不動産などの資産や高い収入・地位がない方は、銀行を敬遠して、最初から消費者金融会社に行くという棲み分けが行われているのです。

消費者金融会社、特に大手はスコアリングシステムという高度に機械化された審査ノウハウを持ち、それを元に無人店舗による審査の集中化を実現し、オペレーター審査を実現しています。

それに比べますと、ほとんどノウハウのない地方銀行は、審査までも消費者金融会社やクレジットカード会社などの保証に依存する形になっているのです。

そのような状況でカードローン事業に打ち勝てるのかは疑問なところです

地方銀行の収益は国債と個人融資頼み

それでも、地方銀行の収益は現状、国債による運用と個人融資頼みとなっています。新たな収益を確保できなければ、更なる統廃合の嵐に巻き込まれる可能性が高いと言えるのです。

地域密着とネットで生き抜く地方銀行

その地方銀行が生き抜くためには、地域密着でカードローン事業を展開するか、親和銀行、スルガ銀行などが行っているようにネットなどで全国的により広く利用者を集めていくしかありません。

ほとんどの地方銀行は、地域密着することでカードローン事業を成功に導きたいと考えますが、資産を持ち、高収入の方は限られており、信用金庫などとの競合が待ち構えています。

しかも、審査ノウハウがない中では保証会社に依存せざるを得ず、それを続ける限り独自のノウハウを蓄積することはできないのです。

銀行は貸金業法や総量規制の規制を受けない

地方銀行は、貸金業法やその総量規制の融資制限は受けませんので、これまでは、それを利用して高額融資で貸付残高を増やしてきました。

しかし、それができる利用者は限られており、しかも信用金庫などの競合が激しいと言えます。
しかも、最近では、銀行からの高額の融資枠によって破産に追い込まれる方も増えており、金融庁は規制の強化の検討に入っているのです。

その意味で、今後高額融資枠については、金融庁から何らかの規制が入る可能性もありますし、銀行業界も自粛に向かいつつあります。

このように、貸金業法や総量規制の抜け道を狙う融資も既に限界にきていると言え、これまでのような高額融資に依存した姿勢だけでは生き抜くことは難しいと言えるのです。

貸金業法の貸せない対象への融資?

もう一つ、貸金業法の規制によって消費者金融会社などが貸せない層を狙ったカードローン事業が可能です。

すなわち、貸金業法では、融資できる方について、

  • 定期的な一定の収入があること
  • 20歳以上、69歳未満の方であること

という制約があるのです。

逆に言えば、貸金業法の規制を受けない地方銀行の場合、消費者金融会社が手を出せない、無収入の人や高齢者を対象と考えることができるのです。

実際に専業主婦を融資対象者に加えている場合や、高齢者を対象としたリバースモーゲージローンを販売している地方銀行もあるのです。

しかし、収入のない専業主婦の場合、親族名義の不動産資産などがある場合を除いては、基本的に審査ノウハウがなく、保証会社の保証に依存してしまいます。

しかし、保証会社そのものが貸金業法上の業者にあたるため、基本的に収入のない専業主婦の場合には、保証を出してくれません。

従って、融資対象者には入れていますが、実際には資産がある方を除けば、融資はできないのです。

リバースモーゲージローンは地方銀行のカードローンの一つの生きる道

リバースモーゲージは銀行業界が積極的に取り組み始めたのはこの10年くらいであり、それまでは東京スター銀行だけが行っているだけでした。

しかし、人口構造において高齢者ウエートが高くなり、しかも一人っ子同士の結婚も増える中で、需要は増加しているのです。

実際に地方銀行で行っているリバースモーゲージローンは、ほとんどが不動産を担保としたカードローンの発行になっているのです。

地方銀行の一つのカードローンの生き抜く手掛かりにはなる可能性があります。

現状、地方銀行でリバースモーゲージローンを販売しているのは、10行に満たない状況ですが、今後さらに増える可能性は高いと言われています。

地方銀行は個人融資部門で消費者金融会社に勝てるのか?

地方銀行には、個人融資部門におけるノウハウがなく、同じ土俵で消費者金融会社と競合して勝てる見込みはほぼありません。

逆に保証付きで地方銀行などのカードローンを経験した方が、消費者金融会社に借りに行くケースはあり、消費者金融会社の市場を開拓しているという状況にあります。

消費者金融会社は審査の迅速さだけでなく、カードを発行してからのフォローサービスも行き届いており、現状、地方銀行にはまねができません。

今の地方銀行の姿勢と甘い審査では生き残りは難しい

地方銀行は、甘い審査ですが、地域密着を利用してきめ細かく、カード発行後のフォローサービスを行うことは可能なはずです。

しかし、それもできていません。

その意味で、地方銀行は自ら個人融資部門に積極的に進出しようとしている割には、そのための努力はかなり不足していると言えるでしょう。

その意味で、地方銀行が個人融資分野で生き残っていけるのは、現状、リバースモーゲージローンのみであり、それも今後信用金庫、信用組合なども参入してくる可能性があり、安泰とは言えないのです。

地方銀行は地域密着で生きるしかない?

地方銀行がカードローン分野で生き残っていくためには、次のいずれかに特化して専門的なオリジナリティを獲得していくしかないと言えます。

a.地域密着で、自宅、家庭の状況などをきめ細かく調べて、きちんとフォローも行う
b.地域で資産家、高収入者のカードローン事業のトップ企業になる
c.リバースモーゲージローンなどに特化する
d.消費者金融の審査ノウハウ、運用ノウハウを獲得する

です。

bについては、やはり地方銀行の中でも格の高い国立銀行出身の銀行がメインとなるため、その他の地方銀行は難しいでしょう。

また、dも現状の、保証会社に依存する形では獲得は難しく、非常に時間と困難を伴います。

消費者金融会社も現在のノウハウを獲得するので、40数年多くの谷を経験してしますが、地方銀行にその覚悟があるかです。

従って、通常の地方銀行が生き残るには、地域密着に力を入れて、きめ細かい消費者金融会社にはない、カードローンのフォローサービスを行って、利用者の支持を得ることしかないでしょう。

その中には、リバースモーゲージローンも含まれますし、きめ細かいフォローサービスをすることにより、支払遅延などにも早めに対応ができるのです。

地方銀行のカードローンの甘い審査力

地方銀行のカードローンの審査ノウハウはほとんどなく、結果としては、非常に時間がかかる割には甘い審査になっています。その要因としては、メガバンクによる系列化もあります。

メガバンクの地方銀行の系列化

バブル崩壊前後から、大蔵省の指導によって、地方銀行はメガバンクの系列に入るところが増えています。

そして、その系列のメガバンクを通じて、さまざまな商品を提供してもらってしているのです。
それによって、商品開発力を持たずに営業できますが、独自のオリジナリティのある金融商品の開発力もなくなっています。

地方銀行の審査は系列銀行のノウハウ頼り

従って、過去のメガバンクの系列地方銀行は融資の審査ノウハウまで頼ってしまっているところもあります。

そのため、カードローンにおいても同様の状況になっているのです。

メガバンクが銀行系カードローンを販売する際に子会社の消費者金融会社などを保証会社にして発行しているため、地方銀行も同じような形態にせざるを得ないのです。

メガバンクにもカードローン審査のノウハウはない

メガバンクは、すでに大手や準大手の消費者金融会社を子会社化しているところが多く、自らノウハウの構築を行わなくてもよい体制が整っています。

唯一、消費者金融業界に関与して来なかったみずほ銀行はソフトバンクと組んでようやくジェイスコアというネット専門の消費者金融会社を立ち上げたところです。

従って、メガバンクには、地方銀行に下ろすためのカードローンの審査ノウハウ、運用ノウハウはないのです。

地方銀行のカードローンの審査は保証会社頼み

従って、現状、地方銀行のカードローン審査は、資産家や高収入の方を除けば、保証会社頼みで発行するしかないのです。

しかも、無担保無保証人のカードローンの返済遅れの方についての回収ノウハウはありませんので、1ヵ月返済が遅れますと、そのまま保証会社に買い取ってもらうしかありません。

地方銀行のカードローン審査は甘いそれとも厳しい?

従って、地方銀行のカードローン審査はノウハウ、審査基準がないため、非常に甘い審査しかできないのです。

時間をかけても審査基準が明確になっていないため、資産のある方についてはほとんど無審査で、それ以外の方は保証会社に依存してカードを発行しています。

すなわち、資産のある方や高収入の方には甘く感じられ、それ以外の方には時間がかかって断られることにより、厳しく見えていますが、実際には甘い審査なのです。

地方銀行のカードローンの審査が甘い背景

地方銀行のカードローン審査が甘い背景には、過去に担保付きの融資しかしてこなかったため、無担保無保証人のカードローンの審査ノウハウがないことにあります。

担保付き融資はあくまでも借りる方を信じない性悪説に基づく融資ですが、無担保無保証人のカードローンの場合は、相手をどこまで信じられるかという性善説に基づく融資なのです。

しかも、地方銀行にはそのノウハウを獲得するための努力が見られない点です。

ほとんどの地方銀行はカードローンを発行していますが、ほとんどが保証会社の保証をつけています。

すなわち、自分で審査をして痛い目に合うということをしていないのです。

過去は、担保という回収の目途があり、商品開発もメガバンクに依存してきたことがその背景にはあります。

自らが痛めにあってこそ、ノウハウは獲得できるものですが、現状の保証会社に依存している限り、ノウハウの獲得は難しいと言えます。

地方銀行はカードローン審査ノウハウがない例

例えば、現在、地方銀行で消費者金融業界の信用情報機関であるJICC(日本信用情報機構)に加盟している銀行は105行中79行あります。

かなりの地方銀行が加盟していますが、JICCの情報を信用情報として使う場合には、使い方のノウハウがあります。

返済事故などはすぐに断りにできますが、遅れ回数をどこまで許容するかなどは過去のデータや経験がなければ、それによって、融資可否や融資限度額に制限をかけることができません。

その意味で、加盟はしていますが、そのデータの生かし方については、かなり情報を蓄積していかなければ、ノウハウの確立は難しいと言えるのです。

地方銀行のカードローンの実験

一部の地方銀行は、ネットで地域だけでなく、広く全国レベルで申込みを受付け、カードローンを発行しているところがあります。

今のところは実験と見ておきましょう。

静岡銀行などは、SMBCモビットと同じようにネットで完結できるようにしているところも見受けられます。

ローンカードが手元に届くのは1週間くらいかかますが、借入・返済は自行以外にもセブン銀行のATMで無料で借入・入金ができるカードです。

さらに、初めての方には45日間の利息のキャッシュバックがあります。また、振込みキャッシングも可能です。

但し、銀行のキャッシュカードと共通になりますので、静岡銀行の口座を持つことが必要ですし、振込みもその口座になります。

実験の行方

この静岡銀行のカードローンは、即日キャッシングができませんし、大手消費者金融会社の会員サービスのようなフォローサービスも見当たりません。

また、キャッシュバックは45日分となっており、大手消費者金融会社の30日よりも長いですが、後からのキャッシュバックであり、その場での利息軽減ではないため、元金は減らない形です。

また、積極的にネットなどで宣伝している親和銀行やスルガ銀行なども保証会社がついています。

ただ、ネットなどで地域だけでなく、広く申込みを受付けることで、その情報を蓄積していければ、将来的に審査ノウハウの構築ができる可能性もあります。

そこまで、静岡銀行、スルガ銀行、親和銀行などがノウハウ蓄積のための体制を整えているかが、今後の実験の成否につながるでしょう。

地方銀行と消費者金融会社のカードローンの違い

地方銀行と消費者金融会社のカードローンの審査や運営ノウハウの違いはどこにあるのでしょうか。一つは、やはりスコアリングシステムという高度な審査システムを持っているかいないかです。

しかも、そのシステムを信じて、運用するという姿勢がなければ、カードローン事業はうまく行かないでしょう。

消費者金融会社のスコアリングシステムという審査基準

消費者金融会社のスコアリングシステムは、40数年という長い期間の経験と35年以上にわたるコンピュータによる利用者の情報(属性、返済状況など)の蓄積があることによって可能になっています。

その数は1千万件にものぼり、それらを分析することにより、返済事故につながる方のパターンを細かく分析・解析して、そのパターンごとに得点化(スコアリング)することで、申込まれた方の信用力を判断できるのです。

従って、スコアリングの分析手法はいろいろありますが、長い経験と膨大なデータと分析するための資金がなければ、審査システムを構築することは難しいのです。

スコアリングシステムを持たない地方銀行の審査力

地方銀行の場合には、申込まれる方は基本的には地域的に限られ、しかもこれまでほとんど個人の方に融資していませんので、データもありません。

従って、基本的にはスコアリングシステムを構築すると言うことは非常に難しいと言えます。

静岡銀行、スルガ銀行、親和銀行などのようにネットを通じてより広く申込みを増やしてデータを蓄積していくしかありませんが、そこまで取り組んでいる地方銀行は少ないのです。
また、期間的にもかなりの時間が必要です。

地方銀行のカードローンの未来

従って、地方銀行のカードローンの未来は、静岡銀行、スルガ銀行、親和銀行などのようにネットを通じて申込者を多数集めて、データ蓄積をしていく方法が一つです。

もう一つの方法は、地域密着で融資した方のフォローまで万全に行って、利用者の支持を獲得するかになります。

もしくは、リバースモーゲージローンをカードローンに結びつけて展開するかでしょう。

いずれにしても、時間と粘り強い努力が必要であり、それのできる地方銀行のみが今後生き残っていけると言えます。

まとめ

地方銀行のカードローンとその審査について、ご説明しました。

地方銀行は、いろいろな出身母体がありますが、いずれにしてもこれまでは無担保無保証人のカードローンについては、ほとんど行ったことがなく、さまざまな面でのノウハウがありません。
甘い審査になっています。

一部の地方銀行はネットなどを通じて積極的に展開していますが、生き残っていけるノウハウを獲得するまではかなりの時間と努力が必要になります。

ただ、何もしなければ、収益機会がどんどん狭まっていく現代の状況では生き残っていくのは難しいと言えます。

また、地域密着型のカードローンを展開するか、或いはリバースモーゲージローンを利用したカードローンの発行などで生き残るところはありそうですね。