現在、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が激減し、「税金が払えない」と悩んでいる方がとても増えています。
なかには、「このままでは住む家すらなくなってしまう……死ぬしかない」と思い詰める方もいるかもしれませんが、ご安心ください。
税金の大半は、通常時から要件を満たすことで分割・猶予・免除の申請が可能です。
それにコロナ禍にある今は、特例の要件も認められています。
この記事で各種税金(自動車税、住民税、所得税、法人税、固定資産税、相続税)が払えないときの対処法を押さえていきましょう。
税金が払えない場合(滞納時)どうなる?
税金を払えないままでいると、最終的には給与や財産の差し押さえがおこなわれます。
ただし、滞納後すぐに差し押さえられる訳ではなく、差し押さえまでにはいくつかのステップがありますので、流れを確認していきましょう。
1.督促状が届く
税金を払えないままでいると、はじめに届くのが「督促状(とくそくじょう)」です。
一般的には、納付期限を過ぎてから約1ヵ月後に届きます。
督促状とは、支払いを催促するための書面ですが、この段階ではあくまでも「まだ支払われていないので◯日までに支払いをお願いいたします」といったもの。
もちろん督促状が届く前に税金を払うべきではありますが、まだ一般的な請求書に近い書面です。
2.催告書が届く
督促状が届いてからも税金を払えないままでいると、今度は「催告書(さいこくしょ)」が届きます。
督促状が届いてから約1ヵ月後に到着が一般的です。
内容としては督促状とは大きく変わらず、支払い期限について記載されていますが、「このまま支払いがなければ法的な処置を取る」といった旨が加えられます。
3.差押予告書が届く
催告書が届いてからも税金を払えないままでいると、最後の通告として「差押予告書(さしおさえよこくしょ)」が届きます。
こちらも催告書が届いてから約1ヵ月後の到着が一般的です。
差押予告書にはその名前のとおり、「このまま支払いがなければ差し押さえをおこなう」といった旨が厳しく記載されています。
4.財産調査と身辺調査が入る
差押予告書に記載された期日が過ぎますと、財産調査や身辺調査が入ります。
調査内容としては、給料、銀行口座、不動産、生命保険といった財産情報のほか、勤務先や戸籍、家族構成といった個人情報の調査です。
財産調査と身辺調査に関してはこれといって一般的な時期はなく、差押予告書に記載された期日が過ぎた場合には、いつ調査がおこなわれてもおかしくはありません。
5.差し押さえがおこなわれる
財産調査と身辺調査が済みましたら、いよいよ差し押さえです。
給与は4分の1まで、預貯金は全額、不動産や車といった財産もすべて差し押さえの対象となります。
差し押さえそのものも厳しいですが、差し押さえがおこなわれた事実が勤務先に届くのも厳しいところ……。
どれほど生活が苦しくても、差し押さえとなる前の段階で税金の支払いは済ませておきたいところです。
税金にも時効はあるが成立することはまずない
実は税金にも時効(3~7年)があります。
つまり、時効が過ぎてしまえば税金を支払う必要もなりますが、残念ながら税金の時効成立はまずありえません。
なぜなら督促状や差し押さえがおこなわれると、その時点で時効のカウントはリセットされるためです。
税金を払わずにいて督促状が届かないことはまずありませんので、「税金は必ず支払わなくてはいけないもの」と考えておきましょう。
各種税金が払えない時、困った時の対処法一覧
確実に払わなくてはいけない税金ですが、どう頑張っても払えないということもあるでしょう。
ここからは自動車税、住民税、所得税、法人税、固定資産税、相続税といった、税金の種類ごとに対処法を解説していきます。
ただし、どの税金であっても基本的に利用できるのは「分割納付」か「猶予制度」。
分けて払うか、期限を延ばしてもらうかのいずれかとなります。
新型コロナウイルス感染症の影響により税金が払えない時の対処法
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、税務署から国税に関する特例の猶予制度が発表されています。
通常時から猶予制度はありますが、支払い期限が2020年2月1日から2021年1月31日までの税金につきましては、特例の猶予制度も利用可能です。
通常の猶予制度では条件を満たしていても特例の制度では満たしていない、もしくはその逆もありますので、必ず両方の制度を確認しましょう。
税金の特例猶予制度を利用するためには、国税庁のサイトにアクセスし、「納税の猶予申請書(特例猶予用)」をダウンロード。
そののち、税金の支払い期限までに所轄の税務署に申請してみてください。
なお、税務署への申請はネットからの申請(e-Tax使用)や、郵送が可能です。
※国税だけでなく地方税に関しても、新型コロナウイルス感染症の影響による特例猶予制度が用意されているケースがあります。
地方税の特例猶予制度については、各自治体によって詳細が異なるため、詳しくは各自治体の公式サイトを確認してみてください。
自動車税が払えない時の対処法
一般的には毎年5月31日を期限としている自動車税。
どうしても5月31日までに自動車税が払えないときには、「分割納付」か「猶予制度」を利用しましょう。
分割納付や猶予制度の諸条件や内容は各自治体によって異なりますので、詳細は自治体の公式サイトにて確認してみてください。
住民税が払えない時の対処法
住民税は昨年度の収入にもとづき算出されます。
そのため、昨年度と比べて今年度の収入が大幅に減ったケースなどでは、住民税が払えないと悩まれる方も多いでしょう。
対処法としてまず考えられるのが、住民税の「免除」や「減免」ですが、利用できるのはやむを得ない事情があった場合のみです。
たとえば、会社都合によるリストラ、災害や事故、病気などにより住民税を払えないようであれば、免除や減免が適用されます。
一方で自分都合により、転職した、無職になったなどの場合には、どれほどお金が厳しくても住民税は払わなくてはいけないのです。
とはいえ、どう頑張っても住民税を払えないのであれば、「分割納付」や「猶予制度」の利用を検討しましょう。
なお、分割納付も猶予制度もお住まいの市や区によって多少の差異があります。
詳細は市役所や区役所の公式サイトや窓口にて確認してみてください。
所得税や法人税が払えない時の対処法
所得税の納付期限は、毎年3月15日です。
3月15日までに払えないようであれば、「分割納付」か「猶予制度」を利用しましょう。
なお、所得税や法人税は国税のため、相談・申請先は税務署です。
また、税務署では適した対処法を提案してもらえなかった場合には、全国商工団体連合会にも掛け合ってみてください。
家や土地など固定資産税が払えない時の対処法
家や土地など不動産にかかる固定資産税はもともと一括支払いだけではなく、年3~4回に分けての支払いも可能です。
しかし、それでも固定資産税を払えないようであれば、「分割納付」か「猶予制度」を利用しましょう。
なお、分割納付も猶予制度もお住まいの市や区によって多少の差異があります。
詳細は市役所や区役所の公式サイトや窓口にて確認してみてください。
相続税が払えない時の対処法
遺産を相続する際にかかる相続税は、相続の開始を知った日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌月から10ヵ月以内に支払う必要があります。
相続税が払えない場合にまず利用できるのは、「延納制度」と「物納制度」。
延納制度はいわゆる分割払いの制度であり、物納制度は不動産や上場株式などの財産を税金の代わりに納める制度です。
また、相続を考えていないようであれば、「相続放棄」もしくは「相続した不動産の売却」もできます。
遺産を相続することで借金まで背負うことになるようであれば、相続放棄がよいケースもあるでしょう。
なお、放棄をするぐらいなら売却したほうがよいと考える方もいるかもしれませんが、買い手が見つからないことにはお金は入ってきません。
それに不動産の売却で得たお金は「譲渡所得」になり、翌年の所得税や住民税がかさむ恐れもあります。
相続税は国税のため、延納制度や物納制度を利用する場合には、税務署に相談・申請をおこなってください。
一方、相続放棄や不動産の売却を考えているのであれば、まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。
税金が払えないことを相談したい時の対処法
各種税金が払えないことを相談するのであれば、国税であれば税務署、地方税であれば市役所・区役所が一般的です。
また、対処法が全く見えてこないケースや、税務署や役所に相談しても解決しなかったケースに関しては、税理士を頼るのもよいでしょう。
ただし、ひと口に税理士といっても、専門分野は税理士ごとに違います。
そのため、自身が相談したい税金を専門としている税理士を選び、相談することをおすすめします。
国や自治体の制度が使えない時の最終手段
国や自治体の制度を利用できなかった時には、最終手段として「カードローン」と「債務整理」を検討してみてください。
カードローンを利用する
よほどの理由がない限り、税金の支払いは必ずおこなわなくてはいけません。
そのため、国や自治体の制度も利用できずということであれば、お金を借りることも検討しなくてはいけません。
近年は、大手カードローンであれば即日融資も可能。スピーディーにお金を用意できるため、支払い期限が近いときでも頼れる存在です。
ただし、カードローンでお金を借りる前に必ず立てておきたいのが、「返済計画」です。
毎月いくらずつ返済を進めていき、何ヵ月で完済するのかを明らかにしておきましょう。
返済計画を立てずにお金を借りると、安易にお金を使いすぎ、今度は税金だけでなくカードローンの返済もできない状況になりかねません。