「投資」と聞くと、敷居が高いイメージを持つ方も多いかもしれない。
「リスクが高そうで、興味があるけどなかなか手を出せない」。そう考える人は少なくないだろう。
そんな悩みに対して、「リスクを低くするための工夫が図られつつ、安定的なリターンが期待できる金融商品」が登場している。Fundsだ。
Fundsは、「貸付ファンドのオンラインマーケット」を運営している。
資産形成などを考える個人投資家と資金が必要な企業を結ぶ、国内初の「貸付ファンド」の「オンラインマーケット」だ。
仕組みは少々複雑かもしれないが、「投資するファンドを選ぶ→お金を預ける→分配金を得る」という流れなので、理解するのは難しくない。
「相場に左右されずに安定的にリターンを得られるので、投資初心者にこそお勧めできる」と運営するファンズ株式会社の代表取締役社長・藤田雄一郎氏は説明する。
仕組みや特徴、商品の魅力などを藤田氏に伺った。
「社債」に近い商品設計。ほとんどの商品が約1分で完売する人気ぶり。
―まず、サービスの概要についてお教えください
「貸付ファンドのオンラインマーケット」というサービスです。
噛み砕いて言えば、資産形成をしたい個人の方と資金調達をしたい企業をWeb上でマッチングするプラットフォームです。
―それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?
個人の方で言えば、貸付ファンドという仕組みを活用することで、主に上場企業に対して貸し付けすることができます。そうすることで個人投資家は、金利を得ることができるので、資産形成が可能です。
企業側から見れば、個人投資家の方から資金調達ができるので、資金調達の多様化や個人投資家とつながりを持つことなどが可能になります。
―貴社サービスは「ソーシャルレンディング」(お金を借りたい会社とお金を運用して増やしたい人をWeb上でマッチングするサービス)の一種として取り上げられることもあります。これまでのソーシャルレンディングとは何が違うのでしょうか?
これまでのソーシャルレンディングは、「銀行での借り入れが難しい」「資金需要を満たしきれない」といった中小零細企業を対象にしているケースが多いです。高いリターンを得られますが、その分リスクも高いです。
一方で、我々は逆の戦略を取っており、相対的に利回りは低いですが、対象企業は上場企業なので安定度合いは高い、つまりリスクを低くしているのが特徴です。
一般的なソーシャルレンディングでは利率はだいたい7%前後ですが、弊社の商品では2~3%前後です。利率は低い分、リスクも比較的低くなっているのが特徴です。
―何に近い商品と言えるのでしょうか?
我々がやりたいことは「個人向け社債の代替」です。
日本では個人向けの社債は、格付けを持っている大手企業でないと発行ができません。
そこで、Fundsの貸付ファンドは社債ではないものの、社債に近い投資効果を得られるような商品設計としています。
―商品の売れ行きについて教えてください
ほとんどの商品が1分かからずに満額申込みに達しています。
相場に連動する金融商品では、いちいち相場を気にしないといけないため、疲れてしまう方も多くいらっしゃいます。
一方で、弊社の商品は利回り予定型なので、ほったらかしをして大丈夫な商品です。
大きく儲けることはできませんが、コツコツ着実に資産を増やすことが可能です。
円建て、かつスマートフォンで簡単に1円から投資ができ、投資対象が上場企業。それに加えて、相場にも連動しません。
こういったコンセプトの金融商品は、日本にはほとんどありません。そうしたユニークさから、多くの方に支持していただいていると考えています。
リスクを抑える工夫をすることで、「資産運用」を身近な存在にしたい
―Fundsでは、「貸付ファンド」という仕組みを取っています。どういう仕組みなのか詳しく伺えますか。
少し難しいかもしれませんが以下の図のような仕組みになっています。
「貸付ファンド」とは不特定多数から資金を集めて企業に貸し出しを行う仕組みのことを指します。
ソーシャルレンディングとほぼ同じ仕組みですが、大きく違う部分が「関係会社貸付スキーム」という部分です。
―何が違うのでしょうか?
つまり、自社でファンド組成を行わずプラットフォームを提供するのみだということです。
借り手の企業(上場企業)に、借りるための会社を立ち上げていただき、Fundsは資金を集めて、そちらに投資を行います。
「ファンド組成」と「販売」が分離していることで様々なメリットがあります。
これまでソーシャルレンディングで問題があった多くのケースでは、販売と組成を同じ会社で行っていたことで、自制が効かなくなってしまっていました。分離することでガバナンスが働きます。
また、万が一事業がうまくいかなくとも、期限が来たら返さないといけない資金であるので、借り手企業である上場企業が倒産しない限り、返金されないということはありません。
投資家は、上場企業が倒産しないかどうかだけを見ておけばいいことがポイントです。なので、「社債」と非常に近い商品だと言えるのです。
―なぜ、事業を立ち上げたのですか?
「現在の日本では、資産運用の環境が極端だ」と思ったことがきっかけです。
ハイリスク・ハイリターンの「株式投資」か、安定性は高いが収益性の乏しい「社債や国債」がメインとなってしまっていて、それらの真ん中が空いてしまっています。
我々、現役世代は将来の不安があると言われる一方で、これまで資産運用は高齢者の方や一部の金融リテラシーが高い人のものでした。
そうではなく、もっと多くの人に資産運用を身近に感じて欲しいと思っていました。
また、前職でソーシャルレンディングの立ち上げ事業を行う中で、多くの個人投資家の方と接する機会がありました。「リターンはそんなに高くなくてもいいから、より安定している金融商品が欲しい」との声が多く寄せられましたが、そうしたニーズに応えた金融商品は少ない。そうした要望に応えたいと思ったことも立ち上げのきっかけでした。
―一金融庁からは、「ソーシャルレンディングの投資についてご注意ください」という注意喚起が2019年5月出されました。(アナウンスの詳細はこちら)こちらについてはどう思われますか?
なぜこのようなアナウンスがされたかというと、過去に何度かソーシャルレンディングの運営会社で問題が起こったからです。
例えば、「投資家に説明していたこととは違う使い方をしていた」ケースや「集めたお金をポケットマネーにしてしまったケース」ケースなど問題がありました。
我々としては非常に遺憾ですし、ソーシャルレンディングは仕組みとしては素晴らしいのに、そういう問題がある会社があったことで、業界全体が誤解されてしまっています。
そうした誤解を変えていきたいと思っています。
弊社では、上場企業を対象にしているので、以前のソーシャルレンディングに比べて投資しやすくなっています。仕組みとしてスキーム上の工夫もし、より安心感を持って投資できるようサービスを展開しています。
そして、スタートアップという言葉に甘えずに、投資家の方々が安心して投資できるような環境を整えています。社内にインハウスの弁護士を2名、さらに公認会計士を1名配置しており、緻密な業務運営が可能となっているほか、内部監査室を置き、内部監査を専業で実施する体制を構築するなど、スタートアップの中ではガバナンスがしっかりしていると自負しております。
投資や資産運用には、お金を増やす以外のメリットも…?
―相当難しいイメージでしたが、「リスクを抑える工夫をしており価格が変動しない」というのは、投資初心者にもお勧めできる商品だと感じました。
投資初心者の方が、最初に投資するのにピッタリな金融商品ではないかと考えています。
相場に連動する金融商品は多くの人からすると、ハードルが高いです。弊社のサービスは相場がなく、スマートフォンで気軽に投資ができるので、初心者にこそやってほしいと思っています。
―今後の目標について
Fundsを多くの人が知っている国民的な資産運用サービスにしたいと考えています。
LINEやmercari(メルカリ)のように、皆さんのスマホに当たり前のように入っているサービスになっていくことが目標です。
また、日本でお金を集め、海外で運用することも始めたいと思っています。
調達コストの安い日本で調達し、成長性の高い新興国で運用することで、日本人の個人資産を増やすことに繋がりますし、新興国の成長にも貢献することができます。将来的にはこうした海外展開をしていくつもりです。
―現在では、売り切れが続いています。
信頼が一番重要だと考えており、投資家の方が安心して投資できる案件を出したいと思っています。ただ、おっしゃる通り、商品の供給量が旺盛な投資需要に追い付いていません。
しかし現在では、続々と販路が拡大しており、水面下で面白い案件が続々と動いています。徐々に投資しにくい環境も改善していくと考えています。
―老後不安が盛んに叫ばれる時代になりました。「資産運用」や「投資」に関して、必要になってくると思いますか?
色々な資産状況の方がいるので、皆さんが資産運用をするべきだとは思いませんが、「資産運用や投資にはお金を増やす以外のメリットがあるのではないか」と感じることがあります。
それは、資産運用や投資が「情報感度の高さに繋がっているのではないか」ということです。
この事業を始めて、資産運用をしている方々は基本的に「情報に対する感度が高い」と感じるようになりました。株をしている人ならその国の政治や経済状況、FXをしている人なら国際経済や国際政治に詳しいことが多いです。
自分でお金を投じて運用しているので、普通の人よりも情報が入って来やすくなるのではないでしょうか。
感度が高まることで、知識も深くなり、より自分の人生を切り開きやすくなるのではないでしょうか。視点や情報の入り方が変わってくるので、生き抜く力が強まるような気がしています。
ただ、最初から大金を投資するのではなく、出来る範囲で少額からチャレンジしてみるのが大事かなと思います。
※さらに詳しくFundsについて知りたい場合、概要や仕組みなどについてのセミナーも実施している。詳細は、こちら