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金融サービス調査隊
「生活の全てをPayPayで完結できるようにしていきたい」 PayPayこれまでの軌跡と見据える未来

「生活の全てをPayPayで完結できるようにしていきたい」
PayPayこれまでの軌跡と見据える未来

QRコード決済や交通系ICカード、クレジットカード…。
現金信仰が根強い日本で、キャッシュレスの波が押し寄せている。

キャッシュレス化を推進する原動力となっているのは、業界のトップランナー「PayPay(ペイペイ)」。

これまで「100億円あげちゃうキャンペーン」や印象的なCMなどで注目浴び、決済可能な店舗数や利用者を増やし続けてきた。

そんなPayPay株式会社の広報室嘉陽氏と伊東室長の両名に、これまでの軌跡や今後の展望などを伺った。

サービス開始から約1年半で、国民の5人に1人が使う大人気サービスに

(PayPay広報・嘉陽氏)
(PayPay広報・嘉陽氏)

―PayPay株式会社についてお教えください

嘉陽氏:PayPay株式会社は、2018年6月にソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の出資により設立した共同出資会社です。同年10月から「PayPay」というスマートフォンを使用したコード決済サービスを提供しています。

―ユーザー数などを伺えますか?

嘉陽氏:ユーザー数は2500万人を超えており、日本の人口で考えると約5人に1人が利用しているサービスです。

2018年に実施した一人当たり最大10万円相当が戻ってくる「100億円あげちゃうキャンペーン」は、かなりの反響を呼び、10日で100億円相当を使い切り、早々に終了しました。

その後、様々なキャンペーンなどを行い、右肩上がりでユーザーが増えています。

利用者だけでなく加盟店数…つまり、使える場所については200万か所を超えており、PayPayで支払いができる場所も全国各地で増えてきています。

決済回数は、単月で1億回を超えるまでになってきました。

―サービスについてお教えください

嘉陽氏:最短1分で始められるスマホ決済サービスです。

アプリをダウンロードしてユーザー登録をしていただければ、すぐにご利用が可能です。

支払いのためには、銀行口座、もしくはクレジットカードをご登録いただく必要がありますが、セブン銀行ATMからでもチャージすることが可能です。

支払方法としては、「QRコードを見せてお店が読み取る方式(ストアスキャン方式)」と、「お店のQRコードを自分で読み取る方式(ユーザースキャン方式)」の2種類があります。

PayPayアプリのホーム画面
(PayPayアプリのホーム画面)

―PayPayのユーザー層はどんな方が多いのでしょうか?

嘉陽氏:リリースした当初は30~40代男性が多かったのですが、今では老若男女問わず広く使っていただいています。

比較的ご年配の方であっても使っていただいている状況です。最初は不安な方も多いようですが、簡単ですので、すぐに使いこなせるようになられる方が多いようです。

―PayPayの魅力について教えてください

嘉陽氏:「お得が一番分かりやすい」ことが特徴だと考えています。

「キャンペーンでいくら戻ってくるのか」が支払ったあとにすぐにわかったり、「今どんなキャンペーンをやっているのか」が一目で分かるのはPayPayならではの特徴です。

また、全国で使える場所も多く、小さな離島でも使えるお店があります。アプリの「近くのお店」で利用できるお店が地図で確認できますが、全国のあらゆるところで利用できることも魅力です。

そして、セキュリティーにもかなり力を入れているので安心して使っていただくことができます。24時間監視していて、不審な点があればアカウントを停止しますし、万が一不正に使用された場合は、基本的に全額補償しています。

伊東氏:電話相談窓口が24時間365日開いていて、困ったときは会話で相談できます。PayPayでは「お金を扱っているのだから、ここまでやらないとダメだよね」という考え方でやっています。ご年配の方々にとっては、チャットのみだけだと使いづらくなってしまいますから。

アプリにはお得情報などが一目で分かる機能が付いている)
(アプリにはお得情報などが一目で分かる機能が付いている)

PayPayが急成長した3要因は、➀営業②マーケティング③プロダクト

PayPayが急成長した3要因は、➀営業②マーケティング③プロダクト

―利用者や加盟店数ともに右肩上がりで増えています。QRコード決済としては、後発でありながら首位に登り詰めている原動力はどういった部分だと思われますか?

嘉陽氏:➀営業②マーケティング③プロダクトという3本柱が上手くいっているからでしょう。

それぞれご説明をします。

まず営業力について。弊社は、全国に20拠点あり、営業メンバーをそれぞれ配置しています。ドアトゥードア方式で1件1件店舗を訪ね、導入をしていただけるように働きかけをしています。

次にマーケティングに関して。

独自の大胆なマーケティング戦略が上手くいっていると考えています。マーケティングの一環として、フェーズに応じて、それぞれキャンペーンを実施してきました。

2018年にはキャッシュレスや、スマホ決済の認知を上げるため、「100億円あげちゃうキャンペーン」を行い、2019年には日常使いを促進するために「第2弾100億円キャンペーン」を実施。

2019年10月からは、キャッシュレス・消費者還元事業に合わせたキャンペーンも実施しました。どれも大きな話題を呼び、成功したと思っています。

最後にプロダクトです。弊社ではユーザーニーズを満たせるように、アプリの改善を日々行っております。

週1回程度のアップデートを行っており、使いやすさや利便性が格段に向上しています。今のPayPayのアプリトップ画面は、サービスを立ち上げた当初と比較すると、全然違う画面になっています。

インドの電子決済サービス「ペイティーエム(Paytm)」の技術提供を受けているだけでなく、日本、インド、カナダに開発拠点があるので、拠点同士で連携しながら改善を行っています。

「日本で開発したものを夜間にカナダやインドの技術者に渡し、開発を続けてもらう。向こうの夜間になれば日本に戻してもらい開発を引き継ぐ…」というサイクルが上手く回っているので、ここまでアップデートを重ねられています。

PayPayリリース当初のホーム画面
PayPayリリース当初のホーム画面

―こうしたキャンペーンの手応えは?

嘉陽氏:1回目の100億円キャンペーン後には、明確な変化を感じられました。

営業メンバーがお店を回っていても、最初のうちは「PayPay…?」「スマホ決済ってなに?」という店主さんが多かったですが、キャンペーン後には「PayPay知っているよ、ちょっと話聞きたい」と話していただけるオーナーが増えました。営業経由だけでなく、Webからの申し込みも増えたので、確実に手ごたえを感じています。

伊東氏:これまでこんなキャンペーンはどこにもありませんでしたよね。ソフトバンクらしい思い切った施策でした。色々なコストの使い道が考えられる中で、このキャンペーンではユーザー還元に振り切りました。

―政府は2025年までにキャッシュレス比率を40%にするという目標を掲げています

嘉陽氏:現在の日本のキャッシュレスは約20%と言われていて、政府は2025年までに40%を目標としています。諸外国と比較すると普及率はまだまだかもしれませんが、その分伸びしろがあるはずです。

2025年に40%に達すると、キャッシュレス決済の市場は120兆円まで上がると試算されており、伸びしろと可能性を感じています。

キャッシュレス化が進めば、現金を扱うコストの削減と人手不足を改善に繋がるので、PayPayも貢献していきたいと考えています。

「ライバルは他社ではなく、現金」。PayPayが見据える未来

「ライバルは他社ではなく、現金」。PayPayが見据える未来

―今後はどのようにサービスを展開していくのでしょうか?

嘉陽氏:現在PayPayでは、「スーパーアプリ」という構想を掲げていて、単なる決済アプリではなく多機能なアプリを目指しています。そのために、新機能が続々と登場しています。

例えば、ば、「タクシー配車」という機能が実装されております。PayPayアプリの中でタクシーを呼んで、目的地を指定し、お会計を済ませるまでが簡単に行える機能です。

―「スーパーアプリ」とはどういうことですか?

嘉陽氏:簡単にいうと、「生活にかかわるあらゆるサービスをスマホひとつのアプリから利用できる」アプリです。

タクシーの配車機能が実装しましたが、今後は例えばお金を借りることや投資などの金融機能、デリバリー機能や予約機能なども実装しければと考えています。

伊東:インドのペイティーエムもそうですが、支払いだけでなく、トラベルや金融、ショッピングなど充実しています。電気代の支払いができたり、鉄道に乗れたり…、このアプリ一つで全てが可能になるよう、色々なサービスと連携させていきたいですね。

最近では、請求書払いにも対応し、公共料金や税金の払い込みがPayPayで可能になりました。

バーコードを読み込むだけで支払いができるので、コンビニ行く必要も現金を準備する必要もない。徐々にスマホ一つで完結できるようになってきています。

―各社「○億円キャンペーン」を行っており、還元合戦の様相を呈しています。他社との差別化はどう考えられていますか?

嘉陽氏:各社が横並びに見えるかもしれませんが、未だに一番使われているのは現金です。

キャッシュレス化を進めていこうとするフェーズでは、各社が競っていることは良いことだと思っています。

「キャッシュレスは便利でお得だよ」皆さまに知っていただくためのキャンペーンですので、いわば「協力体制」だと考えています。ライバルは他社ではなく、現金ですから、競争しているという認識ではなく、ともにキャッシュレス化を進めていく仲間だと考えています。

―ユーザー数も導入店舗も右肩上がりで増えており、全てが順調に見えます。逆に、何か課題はありますか?

伊東氏:まだまだ課題ややりたいことはたくさんあります。具体的にはお話することはできませんが、結局のところ、「ユーザーが何を求めているか」に帰結すると考えています。例えば、コード決済よりもIC決済の方が支払うスピードは速いですが、IC決済にするとスマホを使用することは無くなります。

しかし、スマホでしかできないこともあります。例えば、購入履歴を見ることや地図からお店を探すことなどはできなくなります。

そこはトレードオフの関係になってしまうので、結局、「ユーザーにとって何が良いのか」という話になると思います。

決済の時に、見せたりかざしたりしないで、持っているだけでお店を出ると決済が完了するといったサービスも出てきています。これは、お客さんにとっては便利かもしれないですが、店舗側とすると導入コストがかかります。臨機応変にユーザーや加盟店のニーズをくみ取りながら、本当に必要とされているものを提供したいですね。

―今後の目標をお教えください

嘉陽氏:現金の代わりとして使ってもらえるような存在になっていきたいですね。

日本のキャッシュレス化を進めるには、まず使える場所が増えないといけないと考えています。使える場所が増えなければ、恐らく使ってくれる人が増えないと思いますので、さらにPayPayが使える場所を増やしていきます。

弊社では、「現金が使える場所全てでPayPayが使えるようにする」という目標を掲げています。そこまで達成できれば、いまの現金と同じように使っていただけるのではないかと考えています。

―最後に、PayPayの魅力をお教えください

嘉陽氏:生活が格段に便利になるかと思います。

わたしもいち消費者として利用をしていますが。PayPayは利用できる店舗だけでなく利用者も多いです。支払いはもちろん、現金で行うのが面倒な友人との割り勘も、PayPayで送りあうことができます。

なので、私は普段財布を持つことが無くなりましたし、ATMにも行かなくなりましたね。2か月くらい行っていないと思います。

ここまで使い込んでしまうと、わざわざ現金を下ろして使う生活には戻れません。還元などもお得ですし、現金を持たない利便性もあるので、是非一度使ってみてはいかがでしょうか?