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誰が使っても損をしない!送金アプリ『pring』が築く“お金で応援する文化”

誰が使っても損をしない!送金アプリ『pring』が築く“お金で応援する文化”

今回は、送金アプリ『pring(プリン)』を提供する株式会社pringの代表取締役社長・荻原充彦さんにお話を伺いました。

荻原さんは『pring』の機能について「シンプルに送金できること」と語ります。

もちろん他にも様々な機能があるわけですが、目指す世界観、社会への課題感を伺うなかでこの言葉こそ『pring』を最も的確に表現している言葉だという印象を受けました。

他のキャッシュレスサービスとは一線を画す『pring』の特徴から今後の展望、自身の“お金観“まで荻原さんに伺いました。

『pring(プリン)』というネーミングには様々な想いと意図がある

『pring(プリン)』というネーミングには様々な想いと意図がある

–まず、『pring(プリン)』という名前にはどういった想いが込められているのでしょうか。

輪を意味する「ring」にペイ(pay)やプレゼント(present)の「p」を付けた造語です。デザインのこだわりもあって、左右対称になるようにしました。ロゴを見て頂くと分かると思うのですが、頭のpが小文字になっていて、左右対称ですよね。

あとは「Apple」もそうですけど、一般的に浸透している言葉に別の意味を持たせると、名前が浸透しやすいという定説があります。漫画の「ONE PIECE(ワンピース)」もそうですよね。

–そういう意図があるわけですね。

はい。それだけではなくて、文字数にもこだわりました。日本人は3,5,7文字が好き、読みやすいんですよね。pringで「プリング」だと字余りなんです。「プリン」の方が収まりがいい。

あと「ぱぴぷぺぽ」など半濁音で始まる名前って覚えやすい定番なんです。

–勉強になります! ちなみに、ロゴにはどういった意図があるのでしょうか。」

ロゴもやはり左右対称 そして若い女性がターゲット

ロゴもやはり左右対称であること、そして若い女性がターゲットなので、可愛らしさも意識しましたね。

色をゴールドにしたのは、金融サービスはオレンジや緑、赤系が多かったからです。PayPayしかり、d払い、au PAY、赤やオレンジが多いですよね。

何も知らなくても使って損をしないサービス

何も知らなくても使って損をしないサービス

–改めてですが『pring』の機能と魅力を教えていただけないでしょうか。

機能はシンプルにほぼ無料で送金できることですね。1対1のチャット形式で送りあうことです。今まで銀行口座や現金でしかやり取りできなかったお金がスマホだけで受け取りできるのが魅力ですね。

あとは今年の1月から始めた「投げ銭SNS」と呼んでいるチーム機能にも力を入れています。誰でもミニブログみたいな感じで投稿して、その記事に対して「いいね」みたいに、1円から投げ銭(応援)ができるサービスです。

1円から投げ銭(応援)ができるサービス

他にも、『業務用プリン』ではBtoCの送金が可能です。会社の経費精算をスマホで簡単にできて、導入いただいている企業さんも増えています。法人の開拓は今後も進めていきたいと考えています。

–法人の開拓において、何か具体的なアクションはあるのでしょうか。

給与を『pring』で受け取れるようにしたいですね。一説には今年7月ぐらいにデジタルマネーの給与受取が解禁されるという話があって、実際に法改正でそうなれば、ぜひ力を入れたいです。

お金の摩擦をなくしたい

–このサービスの社会的意義は何でしょうか。

個人、法人問わずユーザーさんがATMもキャッシュカードもなく、かつ今までよりも安い金額で24時間365日お金を移動することができることですね

あとは会社の理念でもありますが、お金の摩擦をなくすことですね。ずっと目指していますし、そこは変わりません。

やっぱり普通に生きてる人、仕事や中小企業の経営をしている方々が無駄なコストをかけないで生活できたり、事業ができたりできる。そういうインフラを作っていきたいですね。

–荻原さん自身がお金に関してのストレスを感じた原体験があったのでしょうか。

そうですね。僕もそうでしたけど、例えば金融リテラシーの低い人たちが普通に土曜日にお金おろして200円の手数料を取られても何とも思わないのは変ですよね。

最近の給料前払いサービスみたいなのも皆さん分かってないと思うんですよ。5%の手数料がどれだけ高いのか。

それでも「自分の給料が前払いでもらえるんだから5%なんて別にいいじゃん」って考える人は多いんでしょうけど。そういった金融リテラシーの低い人に付け込むのは嫌ですね。

–日本人の金融リテラシーは低いと言われていますけど、高めたいと思うことはありますか?

日本では難しいのではないでしょうか。小学校とかでもお金の授業をやるべきだと思いますよ。親が「貯金をしなさい」「借金は悪」みたいなことを言いますしね。

例えばお年玉でもらった1,000円を郵便貯金に貯金したら「たろうくん、偉い!」とか言っちゃうから。本当はその1,000円を使い切る経験をさせた方がいいじゃないですか。

だから金融リテラシーを高めたいというよりも、「何も知らなくても損をしないインフラ」を作ってあげることの方が日本人向きだなと思います。

–何にも知らない人が使っても損をしない?

そうです。とりあえずこれを使っとけばいいみたいな安心感。多分Amazonとかもそうだと思います。とりあえずAmazonで買っとけば大体安いし、翌日着くしっていう感じですね。そういうものを用意してあげたいです。

「エールを円に」お金で応援する文化を作る

「エールを円に」お金で応援する文化を作る

–誰が使っても損をしないサービスで、何より身近なスマホで簡単にお金を動かせるのがいいですね。

ありがとうございます。あとは、応援する文化を作っていきたいですね。

この間もNHKさんの「おはよう日本」で取り上げてもらったのですが、広島のアマチュアバンドがライブをやるのにライブハウスを借りたのですが、この時期(コロナウィルス)なのでお客さんが来れなくなりました。

それで、ライブ配信をやるから皆さん投げ銭やって下さいと『pring』を使ってもらいました。 また3月29日には、ももいろクローバーZさんが、自分たちの配信にpringを使ってくれました。ライブやイベントが中止になるなかで、この投稿1時間で140万円以上のお金を集めることができました。

こんな時期だからこそ、リモートで応援できるっていう仕組みは時代にマッチしていると思いますし、そこは磨いていきたいです。

僕たちは「エールを円に」っていう言い方をしているんですけど、応援をお金に変えていく。そんな市場を作っていきたいです。

–チーム機能のように、コンテンツの価値が「いいね!」とかではなくて、お金で支払われるのはやっぱり嬉しいです。

そうですよね。皆さんフォロワーが1万人とか、「いいね!」を1,000とか集めるじゃないですか。承認欲求は満たすかもしれないけど、それ自体には正直価値はありませんよね。

だったら自分の価値を「いいね!」ではなく、ダイレクトにお金に置き換えた方がいいと思いました。少し頑張れば月3万円ぐらいは入るって大きいじゃないですか。

記事を書いて上げるだけで毎月1万円、2万円になれば足しになるし、新しく稼ぐ場として使ってほしいです。「新しい形の銀行」っていう感じですね。

『pring』はポイント還元がないけど、それでいい

–今はQRコード決済が乱立している状況ですが、そういった決済サービスを意識することはありますか?

全くありません。各社の還元率競争に加わってもしょうがない。

人間とチーターの競争を例によく出すんですけど。例えば100 m競争を10秒で走れる人がいて、今度また別の9秒台で走れる人がくる、最後にボルトみたいな9.5秒で走る人がくる。そうやって、人間は永遠と同じ戦いをする。

そこにチーターを連れてきたら、その戦いも終わりますよね。こっちの還元率は5%、あっちは10%だ、とか、キャンペーン期間がこっちは2週間、あっちは1ヶ月だ、って。要は同じ尺度で競争している限り、絶対に差別化できない。最後は消耗戦です。誰もが思いつくような物差しで戦うのは得策ではありません。僕たち資本力のないベンチャーは違う軸、つまり人間同士が走ってる横で、チーターでもバイクでもなんでもいんですが、違う軸を持ってきて戦わなきゃいけない。

『pring』の決済は還元がない、ポイントもつかない、誰が使うんだって言われます。でもpringに経費精算したお金が入って、給料が入って、財布やキャッシュカードを持たなくなって、会社の近くにファミリーマートがあったら、pringで決済する人もいます。それでいいんですよ。

–なるほど。ちなみに、今後キャッシュレスサービスはどうなると思いますか?

QRコード決済の文脈でいうと、やっぱり3つじゃないですか。世の中の流れ的に。

銀行もそうだし、コンビニもそうですよね。ショッピングサイトもAmazon、楽天、ヤフーショッピングの3つですよね。大体2、3個に落ち着くのはもう世の常というか歴史のパターンですよね。

あと、QRコード決済が広まったところで社会的インパクトはあまりないと思うんですよ。現金を使う人が少し減ったくらいで。例えば、いままでクレカで払っていた人がSuicaで払うようになった。なにか変わりますか。それと同じです。それよりも今までになかった市場を作ることを考えたいです。

それこそ法人を起点としたキャッシュレスサービス。デジタルマネー給与の受け取りもひとつですし、今まで銀行振込か現金しか手段がなかったものをスマホでできる方がインパクトは大きい。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」なんて最近言われますけど、その変化の方が絶対大きいと思います。「ない市場をどう作るか」が大事ですね。

「ない市場をどう作るか」が大事

―最後にお伺いします。荻原さんにとって「お金」とはどういうものですか?

価値交換ですね。お金は何かの価値に交換する手段ですね。

だから今僕らが仕事でやってることですが、新しい価値を生み出すことが大事です。

自分の価値を変える場所がなかったものを『pring』では1カ月ぐらいで1万円程度ですが、収入になってるわけですね。

–たしかに。自分の腕試しにもなるし、コンテンツの価値もお金で評価されるからダイレクトに感じます。このチーム機能を今後使わせてもらいます!

ぜひ。

–今日はありがとうございました。

『pring』公式サイト