最近、日本でも急速に拡大しつつあるキャッシュレス決済。私たちが決済を行う加盟店とカード会社・銀行を結ぶ役割をしているのが、「決済代行会社」と呼ばれる方々です。
普段の生活ではあまり触れることのない決済代行サービスについて、株式会社ROBOT PAYMENT取締役の小倉様に伺いました。
サブスクリプション(継続課金)モデルに特化したシステムが大きな強み
―本日はよろしくお願いいたします。
御社はオンライン決済代行と請求管理システムの2つのサービスを主に展開されていますが、まずはオンライン決済代行についてお聞かせください。
はじめに決済代行について簡単にご説明します。決済代行会社は、クレジットカード会社などの決済手段を提供する金融機関とカード決済を導入したいネットショップや店舗などの加盟店様を仲介し、決済システムを提供する役割を担っています。
近年、クレジットカードの他にもQR決済や電子マネーなど色々な決済手段が出てきていますよね。加盟店様からするとそれぞれの決済手段提供会社様と契約するのはなかなか大変だと思います。
そこで我々のような決済代行サービスをご契約いただくと1つのシステムと契約するだけで、複数の決済手段をご利用いただくことが可能になります。
ですから、決済手段が増えれば増えるほど、我々の価値を皆様に提供できるかなと思います。
―その中で御社の強みはなんでしょうか。
大きく2つあると思っています。
1つはサブスクリプション(継続課金)モデルに特化したシステムになっていることです。
創業以来、継続課金の仕組みをどこまで自動化できるのかというのを徹底して研究してきました。継続的にお金を徴収するような加盟店様、例えば書籍の定期購読やファンクラブには非常に便利なシステムです。
もう1つは簡単なCRM(顧客関係管理)システムとしてもご利用いただけるということです。
決済データというのはどこの決済代行会社でも保有しているのですが、我々はそれ以外のお名前や生年月日といった個人情報もセキュリティの高いシステムの中で一緒に保存しています。
そうすることで、簡易的な顧客管理までを、このシステムの中で行えるようになっています。
ーオンライン決済代行を立ち上げようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
我々は2000年創業の会社です。元々はアメリカでオンライン決済代行サービスが台頭していたこともあり、日本にもオンライン決済代行サービスを広げられないかと考えスタートしました。
当時はまだ日本のECは黎明期でしたが、代表は「これからはECの時代がくる」と予見していましたし、お金のことはデリケートなのでやりたがる人が少なかったんですね。
「誰もやりたくないところにチャンスがある」と考えるのがうちの代表(代表取締役・清久 健也氏)なので、オンライン決済代行に絞ってサービスを開始しました。
ーどのくらいの企業様に導入いただいているかお聞かせください。また、特徴的な業種などありますか?
現在、約12,000社にご導入いただいています。特徴的なことは、やはり先ほど申し上げた我々の強みにマッチしているお客様が多いですかね。
サブスクリプションに特化したシステムというところでは、定期購読の雑誌やファンクラブの他にオンラインサロンの利用も特徴的です。
学会や国際イベントでご利用いただいている団体や企業様は簡易的なCRMも兼ねたご利用が多いかと思います。
もちろん、一般的なECサイト様もいらっしゃいますが、他の代行会社様に比べると上記のようなお客様の割合が高いかなというふうに思っています。
請求書の発行から入金管理、消込、未収金の催促までを一元管理
ー決済代行だけでなく、その先の請求管理の部分のサービスもご提供されていると伺いました。そちらのサービス“請求管理ロボ”についてもお聞かせください。どのようなサービスなのでしょうか?
大きく言うとこれまで手作業でやってきた、請求→支払い→消込、最終的には未収の催促といった請求業務を全てクラウド上で自動的にやろうというサービスです。
このサービスの我々の強みは「一元管理」というところです。
請求書のクラウド化や消込、郵送の自動化に特化した会社さんは他にもたくさんあります。その中で、我々は企業経営において企業のキャッシュフローが重要と考え、請求に関する全ての業務を一元管理かつ自動化できるというのが他社さんとの大きな違いかなと思います。
さらに、もともと決済代行会社なのであらゆる決済手段の管理も一括してできるというのは我々だけなんじゃないですかね。
Salesforceアプリバージョンの請求管理ロボ for Salesforceも提供していますし、通常の請求管理ロボもSFA(営業支援システム)との連携も可能なので、SFAで契約管理をして、その後請求管理ロボに情報を流すという流れの企業様が多いです。
もちろん、会計システムへの連携もできますので、契約管理から、請求、回収、会計まで一気通貫でできることになります。
これまで手作業でやっていた部分を自動化するので、ワークフローを変えずにそのまま課題を解決できるというのも大きな利点かと思います。
ー請求管理ロボの開発経緯も教えていただけますか?
ビジネスにおいて、BtoC企業向けの決済代行市場はかなり成熟しています。一方で、BtoBの会社様に請求業務について聞いてみるととにかく手作業でルーチンワークだったんですね。そこを何とかクラウドシステム化できないか?自動化できないか?と考えたところが出発点です。
クラウドシステムで自動化することによって、請求に関するルーチン作業がなくなるうえに、紙や印鑑・請求書の送付などの人が行う作業を極限まで減らし、どこからでも情報を確認できるようになるわけです。皆さん楽になりますよね?
ーホームページで請求管理ロボの中の「売掛保証」というオプションを拝見しました。珍しいサービスだと思うのですが、詳しく教えていただけますか?
請求業務の中でニーズが高いのが、与信管理や未入金の催促など資金繰りの問題です。我々がその課題を直接解決するのはメインではないと考えています。
でも、請求業務でどうしても人の手がかかってしまう与信管理や未入金催促を自動化できないか、という想いはありました。
そこで考えたのが、自動化だけに拘らずに未回収のリスクや催促業務のストレスも我々が保証するので、本来の業務に集中してくださいというようなサービスです。決済代行会社として、様々な請求データをもっているという強みを活かしてリスク管理をお手伝いするようなサービスですね。
実際にサービスを開始したところ、未収リスクを減らす、業務負荷を軽減するという要望以外にも、自社の与信基準が厳しいために本サービスを利用したことにより、取引先が増え売上拡大につながったなど、我々も想像していなかったお声もいただいています。
今は、あまり大きくは打ち出さずにオプションという形でご提供していますが、働き方改革やテレワーク導入のトレンドもあり、このオプションをきっかけにお声がけいただく企業様も多いです。
ー請求管理ロボは2019年のフィンテックアワードでブロンズアワードを受賞されていますよね。
このアワードは新規性を求めるアワードだというふうに聞いています。その中で請求管理ロボは新規性に加えて、実用性・有効性の部分も高く評価いただけたのではないかと考えています。
実際に、企業が抱えているお悩みを解決できるというのがポイントですかね。
BtoB決済のナンバーワンを目指す
ー今後、ロボットペイメントはどんな存在になっていきたいですか?
我々は「お金をつなぐクラウドで世の中を笑顔に」というビジョンを掲げています。企業のお金のことは、全ての情報をリアルタイムで確認できないと、色々な判断ができないと思うんですね。
BtoBの商取引を繋ぎ、ビックデータをもつというようなことをやりたいなと思っているので、「ここを見ておけば全ての流れが分かる」というのが理想です。
国によって、企業間の商取引習慣は全く異なります。キャッシュレス化が進んできたとはいえ、欧米などに比べて日本はまだまだ現金主義が根強いと感じます。
ゆくゆくは世界に出ていきたい、という想いはもちろんありますが、まずは日本で日本の商習慣にあった企業間取引を蓄積していきます。そしてBtoB決済のナンバーワンを目指します。
ー最後に、小倉様にとって「お金」とは?
「なりたい自分になるために必要なもの」ですかね。
「こんな事業をやりたい」「こういうことを実現したい」。決済代行会社として、様々な経営者の方と色んな夢のお話をしてきました。夢を叶えるため、やりたいことをやるためにお金はどうしても必要なものだと思います。
だからこそ、お金の動きがどうなっているのか、お金の見える化・可視化というのを今後も大切にしながらサービスをご提供していきます。
ー本日はありがとうございました。