「リースバック」というサービスをご存知ですか?
ここ数年で認知されてきた比較的新しいサービスで、昨今、そのニーズは高まっています。
自宅を売却して現金化できる。そして、売却後も住み続けることができる。
リースバックの主な特徴はこの2つです。
今回は株式会社セゾンファンデックスのソリューション事業部・谷平さんに「リースバック」についてお伺いしました。
リースバックを取り扱う事業者が増えてきたなかで、セゾンファンデックスならではの強みを語ってもらいました。
リースバックの仕組み~今、求められている理由~
–「リースバック」とはどんな仕組みか、簡単に紹介してもらえますか。
リースバックとは、お客さまのご自宅を弊社が購入させていただき、同時に賃貸借契約を結びます。
お客さまはまとまった資金を得られ、更に毎月家賃を支払ってそのまま自宅に住み続けることができるサービスです。
弊社の定期建物賃貸借契約は3年程度ですが、お客さまが希望すれば期間満了時に契約を更新することができます。
また、契約期間中にお客さまがご希望されたら、ご自宅を弊社から購入することも可能です。
–「リースバック」のニーズが高まった背景には、何があるでしょうか。
超高齢社会における先行きの不透明さが一番大きいと思います。
例えば、相続を見据えて分配が難しい自宅を売却して現金で残しておきたい。介護が必要となったときのために、現金を用意しておきたい。
子どもに迷惑をかけないよう、住宅ローンを完済しておきたい。
といった、老後の資金確保や生前の相続対策、住宅ローンの返済などのお問合せが増えています。
老後の資金作りは、単なる生活資金の工面だけでない事情があります。
また、高齢者の資金作りの難しさも背景にあります。
高齢者は金融機関からの融資がスムーズに受けられなかったり、融資の条件や制限が厳しいため思い通りに借りられず、選択肢が限られているわけです。
自由度の高い資金作りを考えると、自宅の活用は有効な手段になります。
ここ2年で「リースバック」の浸透を実感
–「リースバック」はいつ頃から始められたのでしょうか。
セゾンのリースバックは2016年に誕生しました。当時は「リースバック」自体の認知度は非常に低かったです。
その後、本格的にリースバックを事業化したのが2018年です。2年前の1月から事業部門を作ってスタートしたので、まだ3年目ですね。
–当時は「リースバック」という言葉自体は浸透していなかったわけですよね。
そうです。正直私も知らなかったですからね。それでも、仕組みなどを調べていくとリースバックってなかなか面白いものだと思いました。
–世間的にもリースバックが浸透してきたのは肌で感じますか。
感じますね。2年前とは全然違います。当時は、リースバックを取り扱っている不動産業者は指で数えるほどしかなかったですが、ここ1年で新規参入される不動産業者が増えてきています。
最初の頃はお客様から問い合わせがあったときに、まずリースバック自体のご説明からしないといけませんでした。3人に1人くらいは「リバースモーゲージ」と間違っている方もいました。
それが今では、お問い合わせいただく方は大体理解されています。リースバックとリバースモーゲージ両方検討している方からの問い合わせも増えています。
リースバックとリバースモーゲージとの違い
–リースバックとリバースモーゲージの違いとはどんなところでしょうか。
リースバックとリバースモーゲージは、ご自宅に住みながら資金を調達できる点は同じですが、仕組みが異なります。
リースバックは、「所有」されているご自宅を売却して代金を受け取り、「賃貸」として住み続ける仕組みです。一方リバースモーゲージは、ご自宅を担保に、住み続けながら融資を受けるローンの一種です。
一般的に、ご契約者様が亡くなった後にご自宅を売却して、その代金から残りのローンを返済する仕組みです。
–初歩的な質問になりますが、ご自身で売却する場合と比べて、リースバックするメリットはどこになりますか。
一番はそのまま住めることです。お客様にはいつも申し上げていることですが、少しでも高く売りたいのであれば、一般売却の方をおすすめします。不動産仲介業者に依頼すればリースバックよりも高く売れます。
※それぞれの詳しい違いは公式HPで詳しく解説しています。
–ちなみに、リースバックは申し込みから契約まで最短2週間とのことですが、どういった流れで進められるのでしょうか。
まず、お問い合わせの電話をいただいてから早ければ当日、遅くとも翌日くらいには「今の段階ではこちらの買取金額、賃料になります」とご提示します。
提示内容にご納得いただけましたら、現地訪問になります。現地を内覧させていただいて最終的な条件をご提示し、弊社で正式に買うと決定すれば、あとはご契約いただく流れです。
最短2週間となっていますが、お客様が本当に急いでいらっしゃるということであれば、さらに早く契約するケースもあります。
ただ実際はお互いの日程を調整しながら進めるので、早い方で2週間、遅くとも1カ月で売買契約に至るという感じですね。
金融の知見からリースバックを提供
–現在、色々な会社がリースバック事業に参入しているなかで、セゾンファンデックスさんの強みはどういう部分になるのでしょうか。
ひとつは金融の知識を持っているので、お金について悩んでいらっしゃるお客様のニーズに応えられる点ですね。
リースバックを取り扱っている会社のほとんどが不動産に特化した業者です。
我々は金融業がメインなので、金融の知見から、お金に関するお困りごとへの適切なアドバイスができます。
例えば、リースバックを利用し、その売却代金で住宅ローン返済をご希望するお客様の場合。
ローン返済にかかる負担はどれくらい減るのか、今後払う家賃とプラスマイナスするとどうなるのか。またリースバックすると、お客様は賃貸としてご自宅に住みますので固定資産税がかからなくなります。
そういったことを考慮したキャッシュフローを、実際に計算してお見せすることができます。
コンサルティング的なお話ができるのは、大きな強みだと思いますね。
高齢者が安心して利用できるサービスを
–セゾンファンデックスさんのリースバックは、見守りサービスのようにオプションが充実していますよね。
はい、付加価値サービスと呼んでいて、こちらも弊社の強みです。
セコムのセキュリティサービスなどを弊社負担でご利用いただけます。
リースバックを始めた当時から何かできないかなとは考えていて、最初に導入したのがセコムの見守りサービスでした。
–なぜセコムの見守りサービスをご提供しようとなったのですか。
ご高齢な方に安心して住んでもらうために何かできないか、というのがきっかけです。弊社の場合、リースバックをご利用されるお客様は平均年齢が64歳です。最高齢の方ですと90歳を超えています。
「安否見守りサービス」は、その人が一番家の中で通る場所、例えば、トイレの前にセンサーを設置して、丸一日そこを通らなければセコムが異常を察知して、駆けつけてもらうサービスです。
その他、ホームセキュリティシステムや火災報知器、そしてペンダント式のブザーなどをご利用いただけます。
(前編終了)
後編では、「老後資金」としてのリースバックの在り方、事業者としての今後の展望について語ってもらいました。