前編では、最近ニーズが急速に広まり、参入企業も増えてきた「リースバック」について、セゾンファンデックス独自の強みを担当者の谷平さんに語ってもらいました。
「高齢者が安心できるサービスを」セゾンファンデックスのリースバック
今回は、“老後資金”としてのリースバックの在り方、事業者としての今後の展望をお伺いしました。
高齢化社会における「リースバック」の必要性
定年を迎えるタイミングで検討する方が多い
相続問題の解消もリースバックの魅力
リースバック後のキャッシュフローに注意しよう
高齢者のお金の悩みを解決することが目標
高齢化社会における「リースバック」の必要性
–リースバックをご利用されるお客様はどういった方が多いですか。
様々な目的で利用されていますが、特に多い利用目的は3つあります。
1つは、老後資金を調達したい方ですね。
この事業に携わるまでは、単純に住宅ローンの返済を目的とされる方ばかりが利用されるのかなと思っていたのですが、一概にそうではありません。
前向きな理由も多いです。印象深かったのは、お子さんは独立され、おひとりで住むご高齢の方のケースです。
「思いきり楽しく過ごしたい」と、そのための資金作りにリースバックをご利用いただきました。
もちろん生活資金に困って検討される方もいますが、この方のように老後を豊かに暮らしたい方もいます。いろいろなパターンがあると思います。
次に、相続や財産分与を見据えたご利用です。
お客様ご自身の意思で財産を分与したいと、相続対策を考える方のご利用もあります。皆さん利用にあたっては、ご家族でよく話し合いをされています。
最後は、住宅ローンや消費者ローンの清算を目的としたご利用です。
ご自宅の売却代金で住宅ローンなどの全てのローンを一括返済した場合、月々の家賃がローンの返済額を下回るときは、キャッシュフローを改善することができます。
高齢化社会における「リースバック」の必要性
–リースバック利用者には老後の心配をされている方もいれば、残りの人生を楽しく暮らしたいという前向きな理由もあるとのことですが、ともかく「老後資金」としてリースバックは魅力的ですよね。
そうですね。リースバックの仕組み自体は一昔前からあったのですが、ここ数年で浸透し、新しい選択肢として認知されてきたのは嬉しいですね。
今の時代、住宅ローンは30、35年ローンを80歳で完済する場合も普通にあります。逆に言うと、50歳からでも30年ローンを組める。
そこでローンを組んだはいいけど、一般的に収入は60歳もしくは65歳で一段落します。現役を過ぎてから15年間もローンが残るケースもあります。当然、そのまま返済するのは容易ではありません。
定年を迎えるタイミングで検討する方が多い
–「老後2,000万円問題」も話題になりましたが、実際それだけ蓄えがある方も多くはないですよね。
そうですね。2,000万円もどういう試算の数字なのかは分からないですけどね。
必要な金額は個人差がありますから、年収300万でも1000万貯蓄貯める方もいれば、年収1000万でも貯蓄ゼロで借金しかないという世帯もあるでしょう。
ただ、間違いないのは定年を超えた時点で収入は下がる。収入が下がるのに、それまでと同じ生活はできません。
そのときには生活レベルを変えるなど、その差額を埋めていくことが必要になりますよね。
サラリーマン世帯の多くは、長年勤めながら住宅ローンを返済し続け、定年時に残った資産は、自宅と生命保険と少しの貯金という方が多いのではないでしょうか。
低金利のため預貯金では資産がほとんど増えないといった環境や定年退職後の時間が長い、人生100年時代といわれている今、70歳、80歳を超える方々からのご相談が増えています。
ご自宅という唯一の資産をどう活用するのかが、多くの高齢世帯におけるテーマとなってきています。
相続問題の解消もリースバックの魅力
–なるほど。金融資産がなくても不動産は持っている。そういった方にリースバックはいいですよね。
はい。最近はご子息からリースバックを申し込んでこられるケースが増えていますね。
–意外ですね。
私なんかもそうですが、ご子息が都内のマンションに住んでいて、実家の一軒家は郊外や地方にある。そうなると仕事を辞めて、実家に戻ることはなかなかできませんよね。
ご子息にもお子様がいてお金がかかる。とはいえ、年金だけで暮らす親が病気をすると医療費が・・・という心配はありますよね。
そういった背景からリースバックをご検討されるご子息が多いですね。
–相続も大変ですよね。
はい、将来その実家を相続したくても、実際に戻れるのかというと、仕事があって戻れない。そこでリースバックを選択されるケースが増えています。
不動産を持ったままお亡くなりになると、相続が発生します。相続は、残された子ども達の間で揉めてしまうイメージが一般的にあります。変な話ですけど、親から子どもへの相続って基本等分なんですよね。
全く世話をしなかった息子と死ぬまで看取った娘がいても法律上は2分の1ずつになるわけです。
リースバックなら現金化できますから、財産分与の配分も自分の意思で決められます。相続対策になるのもリースバックの魅力です。
リースバック後のキャッシュフローに注意しよう
–今までリースバックの魅力についてお伺いしてきたのですが、逆に利用する上で気を付けた方がいいことはありますか?
まず一番は、先ほどもお話ししましたが、リースバックした段階で所有者は弊社になります。つまり、自分の財産だったものが財産ではなくなるわけです。
それに抵抗をお持ちなのであれば、リースバックはおすすめできません。
また、リースバックを利用した後のキャッシュフローのバランスも注意した方がいいでしょう。
リースバックをすることで月々の支払いが軽くなる場合もあれば、逆のケースもあります。例えば、これまで住宅ローンを8万円払っていたのが、賃料だと10万円に上がる可能性があります。
ただ、月々の支払いは2万円増える一方、キャッシュでまとまった金額を得られます。そして、リースバックをすれば固定資産税、マンションなら修繕費もかからなくなります。
そういったメリット、デメリットは事前にしっかりとご説明します。諸々を納得していただいた上で契約になります。
目指すのは「健全な取引」
–リースバック事業者として、今後の展望はありますか。
リースバックのニーズはこれから先もっともっと増えていくと思います。実際に問い合わせの数でもそれは実感しています。不動産仲介業者からの問い合わせも増えました。不動産業界全体で認知されてきています。
そういったなかで、一番大切にしていることは、健全な取引をしっかりとやることです。ご高齢者が、騙されて高い商品買わされたというようなニュースをよく見聞きしますが、そういったことだけは絶対に避けなければいけません。それは自分たちだけではなくて、業界全体として。
お客様は何らかの理由でお金に困っている方たちです。お金は「命の次に大事」なんて言われることもありますが、金融業に携わっている限りはちゃんとお客様のお金の悩みを解決してあげたい。
我々社員がしっかりした知識、スキルを持つことは当然として、お金に関する解決策は時代によって常に変わっていきます。リースバックも、ここ数年で台頭してきたサービスですからね。
また数年後には別の解決策が生まれるかもしれない、新たなサービス、新たな事業を生み出すために常に敏感でいたいと思います。
–本日はありがとうございました。