2008年の地方税法等の改正によってスタートした「ふるさと納税」制度。
おおまかに言えば、「ふるさと納税」とは好きな自治体へ寄付を行い、自己負担2,000円を除いた金額が税金から控除される仕組みのこと。寄付することで、寄付金の使い道を選べるほか、地域の特産物などを返礼品として貰うことができる。
総務省が2019年に行った「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、ふるさと納税受入件数、受入額ともに右肩上がりで伸びている。2019年は受入額約5127億円、受入件数は約2322万件だった。
多くの方がふるさと納税を利用する一方で、まだ制度を利用したことがない人も大勢いるだろう。私もその一人で、制度を利用したいが、なかなか踏み出せていない。
そんな方たちに向けて、改めてふるさと納税の仕組みや意義、そして大手ふるさと納税サイト「さとふる」の魅力について、運営する「株式会社さとふる」の広報担当者に伺った。
「さとふる」は「ふるさとの元気を“フル”にする、ふるさとの魅力が“フル”に集まる」Webサイト
―貴社サービスについてお伺いさせてください
株式会社さとふるは、ふるさと納税を通して、地域活性化を推進しています。
ふるさと納税の寄付者向けて、「さとふる」で返礼品の選定、寄付の支払いなどができるサービスを提供しています。
自治体向けには寄付の募集や申し込み受け付け、寄付金の収納や返礼品の配送など、ふるさと納税の運営に必要な業務を一括代行するサービスを提供します。
2014年10月にサイトがオープンし、多くの方に利用いただいています。取り扱い自治体数は、2020年の2月末時点で計739自治体(6県および733市区町村)となりました。
―他のふるさと納税サイトと違った特徴はありますか?
「(ふるさと納税に関する)自治体業務の一括代行」という事業が特徴です。
「自治体業務の一括代行」について具体的に言えば、返礼品を出す事業者の開拓や在庫調整、配送業者の手配、寄付したお客様の対応など、本来は自治体が行う寄付を受けた後の業務を代行しています。
募集から寄付後の対応まで一括で対応する仕組みはさとふるが初めて提供したものです。
一連の流れを弊社で担当しているため、他のサイトと比べて返礼品が早く寄付者に届きます。
―「さとふる」にしか無い返礼品もあるのですか?
オリジナルとして弊社だけに掲載いただいている返礼品もあります。
また、事業者さんと一緒に開発した返礼品もたくさんあります。
―なぜ、「一括代行」を行っているのですか?
弊社の親会社「SBプレイヤーズ株式会社」は、自治体と仕事をする機会が多く、ふるさと納税をうまく活用できていないことを間近で見てきました。
「何か力になれないか」と考え、この事業が生まれました。
自治体によっては、元々あった業務に加え、ふるさと納税制度の業務が負担になっていました。我々が担える部分はお任せいただいて、自治体や事業者の方には注力したい部分に集中してもらうことで、「共にふるさとを良くしていきましょう」という理念で運営しています。
―社名の「さとふる」の由来は?
「ふるさとの元気を“フル”にする」から由来しています。
「ふるさとの元気を“フル”にする、ふるさとの魅力が“フル”に集まる」ということを会社のコンセプトにしています。
―「ふるさと納税」という制度にはどんなメリットがあるのですか?
メリットは以下の4つだと考えています。
- 自分の出身地だけでなく、全国にある様々な自治体に寄付ができる
- 復興支援やまちづくりなど、寄付の使い道を選ぶことができる
- 寄付した地域の特産品などの返礼品を貰える
- 一定金額の税金還付や控除を受けることができる
「ふるさと納税」は、ふるさとや地方を良くしたいという思いがある方に是非使ってほしいと個人的には思います。
総務省のHPにも書いてあることですが、多くの人が地方で生まれ、その自治体から医療や教育など様々な住民サービスを受けて育ちます。
進学や就職で都会に移る方が多い一方で、そうした方たちの税金はその人が生まれ育ったふるさとではなく、都会に入ってしまいます。
「現在どこに住んでいたとしても、自分の意思で自分を育ててくれたふるさとに納税できる制度があってもいいのではないか」とのことで制度が始まりました。
一部の自治体では、過度な返礼品を出すなど問題となっていましたが、弊社としては、「地域を知ってもらいたい」「地域活性化の一助としてほしい」というスタンスです。
是非、制度が生まれた理由についても知っていただけると幸いです。
「ふるさと納税」は、手続きを含めて意外と難しくない…?
―「ふるさと納税」は難しい印象があります。役所に届け出を出す必要があるなど、なかなか一歩が踏み出せません。
最初にお伝えしたいのは、「手続等含めてそんなに難しくない」ということです。
まず、応援したい自治体や欲しい返礼品から寄付先を選んでいただきます。
そこから、寄付をして決済するまではECサイトを利用したことがある方には簡単です。
その後、「ワンストップ特例」か「確定申告」してもらい、税金控除の手続が完了となります。
仕組みや手続きの仕方を理解するのが、ふるさと納税を行うハードルになっていると思いますが、流れはとてもシンプルです。
―もう少し詳しく伺えますか。
より詳しくお話すると、まず、地域や返礼品を選んでいただき、寄付決済をしていただきます。
次に、寄付金の使い道を選んでいただきます。例えば、教育や子育て支援、観光整備…などから自由に選ぶことが可能です。
そういった形で寄付金の使い道を選べるというメリットがあるので、間接的に税金の使い道を選ぶことが可能になります。つまり、意思を持った納税が可能になります。
その後、返礼品と共に「寄附金受領証明書」が届くので、その証明書を保管し、控除申請を行う、という流れになります。
―申請の方法には「ワンストップ特例」「確定申告」の二種類がありますよね。それぞれどのように申請すればよろしいのでしょうか?
「ワンストップ特例」は確定申告をせずに申請が可能です。
- 会社員などで元々、確定申告しなくてよい
- 寄付先の自治体が5自治体以内
上記の2つの条件に当てはまる場合、「ワンストップ特例」での申請ができます。
さとふるの場合、マイページからダウンロードできる「ワンストップ特例申請書」に一部記入し、寄付した自治体に提出するだけで済むので非常に簡単です。
確定申告の場合は、確定申告をする際に、一緒にふるさと納税の申請も行ってもらう形です。
「ふるさと納税」のためだけに確定申告をするのであれば、国税庁のHPを見ながら申請書を作成し、寄附金受領証明書を貼りつけ、本人確認書類とともに提出いただくという形になります。
確定申告の場合、弊社で「ふるさと納税専用・5分でできるカンタン確定申告」というサービスも提供しています。こちらを利用すれば簡単に確定申告ができるので、是非利用してください。
永続的な地域活性化を目指していきたい
―2020年3月には、「東日本大震災から9年 ふるさと納税で東北を応援しよう」という
プログラムを発表されました
東日本大震災から9年が経過し、着実に復興は進んでいますが、心のケアや風評被害対策などが今も必要されており、完全に復興したとは言い難い状況です。
東日本大震災を風化させないために、「もう一度東北に注目し、皆様にご支援いただきたい」という思いでこのプログラムを始めました。
返礼品を貰うことで地域の産業をしている事業者の収入になり、地場産業がより活性化していきます。
また、最近では種類も増えていて、地域に足を運んでもらうタイプの返礼品も登場しています。そういったものですと、滞在して、お土産の購入や宿泊費などを支払ってもらうことで、周りの事業者さんにもいい影響が出ます。
このプログラムでも、流鏑馬の体験プログラムや養殖ホタテの作業体験など様々な返礼品を準備しています。是非、被災地支援のためにもこのプログラムを利用していただきたいです。
―最近では、「新型コロナウイルス」で深刻な打撃を受けている地方もあるといいます。
弊社でも支援ページを立ち上げて、新型コロナで影響を受けている全国の自治体への支援を始めました。
影響は深刻に出ていて、北海道のある温泉旅館では宿泊客が昨年に比べて6割ほど減ってしまったそうです。
これがいつまで続くか分かりませんが、こうした状況が続けば地方の事業者は大打撃を受けてしまいます。
そうした事態を少しでも良くするために、新型コロナウイルスへの支援ページを立ち上げました。
―「ふるさと納税」で与えられるいい影響とはどんなものか具体例を伺えますか?
ふるさと納税を通じて、良い影響があった自治体を紹介します。
佐賀県嬉野市(うれしのし)という自治体があります。
美肌の湯で有名で、温泉や嬉野茶、佐賀牛などが特産品です。そこで、佐賀牛をふるさと納税に掲載したところ人気を集めました。
商品の認知度が上がったことで佐賀牛の売買単価が上がっただけでなく、温泉街の整備に寄付金をあて、無料の足湯を整備することもできました。
全国には多くの温泉街があり、客足が右肩上がりで増えている温泉街も少ない中で、ふるさと納税をきっかけに、訪れるお客さんが増えているそうです。
単純に特産品の知名度が上がっただけでなく、こうした周辺にまで良い影響・効果を与えることができるわけです。
―今後の展望や目標について
「ふるさと納税」は、自治体・その地域の事業者・寄付者、3者にとって良い仕組みです。
全ての方にとって、ふるさと納税を使うハードルを下げることで、地域の活性化に繋がると信じています。
「ふるさと納税」制度はもちろん良い仕組みではあるのですが、それに固執するのでなく、永続的な地域活性化に繋げられるように、様々な事業展開をしていきたいと考えています。