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人生100年時代のお金ガイド
人生100年時代の資産形成術~夢を実現するためのお金の「守り方」と「増やし方」~

「あなたは自分が何歳まで生きると思いますか?」

2016年に出版され、ベストセラーとなった『LIFE SHIFT リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著』や「2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されている」と厚生労働省から発表されたことが、報道や雑誌などで取り上げられ、人生100年時代の到来が広く知られるようになりました。あなたも100歳まで生きるかもしれません。

長寿社会に向かっていく日本の現状をおさらいしておくと、“入ってくるお金”については「平均給与」「老齢基礎年金の支給額」共に2000年以前の水準よりも低く、今後も大きく伸びていく事を期待するのはしばらく難しいと思われます。一方、“出ていくお金”については、税金や社会保険料の負担の割合を示す「国民負担率」が過去最大となっているうえ、インフレにより物の値段も少しづつ上がっているため、例え5年前と同額の給与を受け取り、同様の生活をしていたとしても、残っているお金は少なくなっていることになります。そのうえ最近では、働き方改革やテレワークの導入によりプライベートな時間が増えたことで、お金を使う機会も増えてきました。

まとめると、“入ってくるお金”は伸び悩み、“出ていくお金”が増える傾向にある、そんな日本の社会の中で、あなたは約100年の人生を歩んでいくことになるのです。

初めまして。ファイナンシャルプランナーで、現在ライフプランナーとして活動している立川健悟です。やや重たい話からスタートしてしまいましたが、個人的には人生100年時代の到来にワクワクしています。両親や祖父母よりも長く時間を使うことができるため、よりたくさんの人と一緒に、人生を楽しく生きることができると考えているからです。

ただし、長く楽しく生きていくためにはお金が必要です。そしてこのお金の知識に関しては、社会の変化に追いつけていない人が多いと言わざるを得ません。昔は正解とされていたやり方が、現代では悪手に変わっていることも数多くあり、今改めて人生100年時代に合ったお金の知識を身につける必要があると言えます。

ちなみに、そう話している私も30代半ばまでは、両親から教わった古い知識しか持っておらず、新しい知識を習得し始めたのはここ5年くらいのことです。インターネット上の記事やYouTubeなどでお金に関する成功体験が数多く手に入ったため、学んだことを実践するだけで簡単に成果が出ると思っていました。しかし、結果的には全くうまくいきませんでした。そこで気がついたことは、世の中の成功例が自分に当てはまるとは限らず、むしろ当てはまらないことの方が多いということです。一方、失敗例については、同様の内容が数多くありました。そこでまず私は、成功からではなく失敗から学ぶことでお金の知識を得ることにしたのです。その結果、お金に関して大きく失敗することは無くなり、今ではお金の心配に悩まされることもなくなりました。

人生100年時代、一生で使うお金は間違いなく増えていきます。そのため、失敗により大切な資産を減らすことが少しでもないよう、まずは「守り方」を学び、資産形成の土台を作り、次に「増やし方」へ進んでいくことが、豊かな人生を送るためのステップになると考えています。

誰かと同じやり方ではない、あなただけの資産の「守り方」

お金に絡んだご相談で最も多いものが、“漠然とした将来へのお金の不安”です。私も同様に不安を抱えていた時期がありましたので、お客さまには私がその不安を解消した方法をお話しています。いつも同じ伝え方で「一緒に、あなたの人生で、必要なタイミングに必要なお金が用意できるかどうかを検証してみましょう」というものです。

ここから始まる守り方のポイントは【把握】【改善】【対策】の3つです。

【把握】~今後の収支を捉える~

ついついお金を使いすぎてしまい、必要な時にお金が足りないようであれば困りますし、必要以上にお金を貯めてしまい、普段の生活でお金が使えずストレスが貯まるという状態も健全ではありません。そこで大切なのが、自分で今後の収支を把握しておくことです。

入ってくるお金はこれから受け取る給与、年金。出ていくお金は、生活費、家賃、小遣いなど、毎月使っているお金もあれば、将来使うお金もあるでしょう。

現在の貯蓄 + 生涯で入ってくるお金 - 生涯で出ていくお金 =???
この計算結果がプラスになるようであれば、まずはお金に困らない人生の可能性が見えてきます。

【改善】~使えるお金を最大化する~

先程の計算上の収支が黒字であっても、大きなお金を使いたい時期がすぐにやってきて、お金を貯められる時期が定年間際のずいぶん後になる場合など、タイミングのズレによっては十分にお金を用意できない事もあります。

ここでは、普段の生活費の見直しが効果的です。使っていない月額課金サービスの解約、プランの見直しによるケータイ代の減額、損害保険や生命保険の保障の見直し、住宅ローンの借り換えでコストダウンできた方もいらっしゃいます。

特に何かを強く我慢したり、自身にストレスを大きくかける必要はありません。自分の人生にとって、本当に必要なものを見つめなおし、優先順位をつけながら残していくと良いと思います。

ちなみに、ここで使えるお金を増やすことができると、後半の「増やし方」でさらに大きな効果を得られます。

【対策】~リスクを最小限に抑える~

ここまでで、お金に困らない人生の見通しが立ってきました。あと一息です。最後に、不測の事態が起きた時の収支について確認しましょう。病気になる、働けなくなる、亡くなるといった、不測の事態が起きた時に、家計の収支が大きく崩れ、将来の蓄えが足りなくなることで、家族が夢を諦めたり、生活に困るようでは、守れているとは言えません。

それぞれの経済的なダメージを試算し、必要最低限の損害保険や生命保険を用意することで、資産がマイナスになるリスクを最小限に抑えましょう。ちなみに、資産が増えてくれば保険に頼ることも少なくなります。保険はいつか卒業することができるものとして捉えておいても良いでしょう。

ここまでで、どんな状況にあっても概ね資産が守られているという状態になりました。

誰かと同じやり方ではない、あなただけの資産の「増やし方」

ここからは、あなたの資産を最大化する「増やし方」についてのお話です。

まず押さえておくことは、資産運用に回すことのできる“人生の余剰資金”の額です。生活費など将来を含めて使うお金をキープしたうえで、貯蓄に回せる月々のお金と、現時点での貯蓄のうち、10年以上使う予定のないお金がその対象となります。次に、ゴールを決めましょう。いつまでに、いくら貯めたいのか。それらを踏まえて「増やし方」を実践していきましょう。増やし方のポイントは【長期】【積立】【分散】の3つです。

【長期】~ゴールに向かった視野を持つ~

1ヶ月後までに資産を倍にしたい!という希望を叶えようとすると、かなりリターンの期待できる投資先にお金を預けざるを得ません。しかしリターンが大きいということはリスクも大きくなりますので、失敗の確率も上がります。

そこでおススメなのが、出来るだけ長期的に取り組むこと。例えば日経平均株価は、過去にはリーマンショックや、新型コロナウィルスの影響で一時的に大きく下がりましたが、今では元の水準以上に株価を戻しています。長期的に見れば世界経済が成長しているうちは、それに引っ張られる形で、右肩上がりに価値が増えていくと予想されます。人生100年時代、長生きにより運用期間をより長く持つことができるようになったとも考えられます。投資先の値動きに日々一喜一憂しながら生活していると疲れてしまいますので、ゴールを見据えた長期的な視野で、のんびり構えておくと良いと考えます。

【積立】~少しづつ資産運用に慣れる~

持っている資産を一度に投資してしまうと、その後急激に経済情勢が悪くなった場合、それぞれの投資先の価値の下落と共に、資産が減ってしまう恐れがあります。そのダメージを軽減する方法の一つが、少額で、毎月同額を積み立てることによる投資方法です。

この同額というところがポイントで、常に積み立てを行うことで、価格の上下に振り回されない資産運用に慣れることができるうえ、価値が下がっている時には積み立てしつつ、さらに量を買うことができるメリットがあります。

仮に月3,000円の積み立てでも、30年間続け5%の複利で運用することができれば、108万円の原資が、約250万円と倍以上になります。こうやって少しづつ資産運用に慣れていくことも大切です。

【分散】~リスクを細部化して抑える~

持っている資産を1つの投資先に集中させてしまうと、その投資先の価値が下がった際、投資先の価値の下落と共に、資産が減ってしまう恐れがあります。そこで、複数の投資先を持つことで、それらのリスクを軽減することが出来ます。日本株と債券、外国株、など金融商品の種類や、取り扱う国を分けることで、さらにリスクを分散することができます。ここでは出来るだけ自分に馴染みのある物を選んでください。例えば株であれば、普段から良く使っているサービスを提供している会社を選ぶこともおススメです。ちなみにウチは家族でディズニー好きなので、日本株では「オリエンタルランド(ディズニーランド運営会社)」、米国株では「ウォルト・ディズニー・カンパニー」を選び、投資しています。

ご紹介した3つのポイントを押さえることで、失敗しにくい資産の「増やし方」を実践していただけます。

まとめとなりますが、ここまでの取り組みを一度行うことで、その後の人生でお金の心配がすべてなくなるということはありません。これからも社会には様々な変化が起こります。大切なのは、その時代とあなたの人生に合ったお金の「守り方」と「増やし方」を都度実践し、定期的にリバランスという見直しをかけることで、時代に合わない無駄を省き、常に最適なバランスを保つことです。一人で考えることが難しくても諦めないでください。信頼のおけるお金のアドバイザーを見つけて、その人の知識や力を借りることもできますし、とても効果的です。人生100年時代を生きていく見通しを立てることができますので、是非取り組んでみてください。

あなたが、お金に悩まされることなく、長く楽しい人生を歩まれることを心から願っています。

PROFILE

立川 健悟

ライフプランナー。1980年広島生まれ。グラフィックデザイナーとして社会人をスタート。東日本大震災で仕事が減ったことを機に、不動産ITベンチャーへ営業職として転職。初の営業職に大苦戦するものの、家族と仲間の支えを受け次第に成果を残せるようになり、その後、執行役員として株式上場を果たす。現在はソニー生命に在籍し、身近な人の夢の実現に向けた資産形成のサポートを行っている。