ビジネス書作家で商品開発コンサルタントをしている美崎栄一郎です。キャッシュレスについての本を書いたご縁で、すごいカードで、連載「お金マンダラ」を始めることになりました。
この連載では、お金にまつわる話を色々と話題にしたいと思います。物事の仕組みを探求するのが好きで、歴史好きでもありますので、話がやや脱線気味になるのはご了承ください。
ネットスーパーとはどんなもの?
昨晩、天気予報を見たら、終日雨模様とのこと。
「寒くなるなぁ」と考えて、鍋をするための野菜(白菜、人参など)と豆乳鍋の素、鍋用の豚バラ肉300gをネットで注文しました。
ついでにペットボトルのお茶(2リットルサイズ)を2箱買い。食後のフルーツとして、キウイフルーツを3個レジに入れ、アイスクリームも箱セットを2箱分買いました。
そうだ。牛乳も買っておこう・・・。
ポチっていたら、商品代金4,928円+送料200円で、税金を入れると、合計5,322円。
雨の中、買い物に行くのが億劫。で、イオンのネットスーパーを使ったわけです。
購入の翌日の昼間の12時に常温、冷蔵、冷凍とレジ袋などに分けて入れたものを届けてくれました。
配送当日は予報どおりの雨でしたが、私は何の問題もなく快適な食事ができました。これがネットスーパーの利便性です。家から一歩も動いていません。私がやったことといえば、玄関から冷蔵庫に食品を移動させただけ。
イオンやイトーヨーカドーなど大手スーパーが、ネットスーパーという新業態を始めています。前述したように、ネットで注文して、近隣のスーパーから届くという仕組みです。
少し前から実施されていましたが、本格化してきた感があります。
近所のスーパーマーケットで売られている商品をネットで注文すると、お店でピックアップしてくれて、それが自宅まで届く。これがネットスーパーです。買い物代行サービスとも言えるかもしれません。
近隣のスーパーマーケットに行く必要がありませんので楽ちんです。
200円という配送手数料というコスト
2リットルのペットボトルを箱買いすると結構な重さになります。それに牛乳を買って、卵を買って、野菜や洗剤などの日用品も買って・・・。このように、重量のある買い物をするときには、ネットスーパーはとても便利です。
ですが、送料は重さや購入金額に関係なく、一律200円程度です。ちなみに、イオンのネットスーパーでは、レジ袋の費用は追加されてはいませんでした。
配送手数料に、込み込みになっているのか、リサイクル仕様の無料配布OKのレジ袋なのか不明です。ともかく、どんな風に包装されるのかは注文する側は気にする必要がありません。普通スーパーで買い物したら、どういう風に包装しようか自分で考えなければなりませんが、その手間も不要なのです。
ここで、200円という配送手数料というコストに着目したいと思います。
私にとって、買い物の労力を考えると200円は安いです。
買い物好きでなければ、買い物に行く時間コストと重い荷物を持ち運ぶ労力を考えると、手間が省けます。もう一つ良い点としては、野菜などの食材の良さを判別する能力に私は自信がないのですが、ちゃんとした食材がお店チョイスで入っています。どう見ても立派な野菜です。
見切り品や本日の特売などのお買い得な野菜などを選ぶことはできませんが、価格に見合った立派な野菜が時間通りに届きます。
買い物コストや労力が200円だと安い。ガソリン代も交通費もかかりません。買い物に行くのに30分はかかるとすれば、30分の自分の時間も確保できることになります。
では、お店にとってはどうでしょうか?
最近ペットボトルのような飲料はアマゾンで買う人も増えています。アマゾン用の商品として、9本入、10本入りのようなアマゾン限定セットが出ています。サイズに合わせて、配送するコストを下げているのでしょう。
ネットスーパーの場合は通常のお店で売っているサイズでした。値段はというと、ネットスーパーのほうが安いです。ペッドボトルの箱だけを買うと、送料無料のアマゾンのほうが安いのですが、他のものも買って送料を按分すると、ネットスーパーのほうが得です。アマゾンは送料を無料にしている分、製品単価に上乗せしていますからね。
そうなんです。スーパーにとってみれば、ネットショップも競合です。ですから、それらの市場を取り戻す意味でも重要なのです。
話を少し脱線させますが、家電量販店もアマゾンなどに売り上げを奪われています。ですので、ヨドバシカメラでは送料無料で文房具などの商品も配送してくれます。アマゾンだと文房具はまとめ買いしないと送料がかかることが多いです。
そうなのです。ネット通販のアマゾンの台頭によって、各社対抗策を講じているわけです。
ちなみに、ネットスーパーでも店頭で売っている文房具は買えます。
雨の日がお宝に変わる
今回の私のように、天候不良の雨模様だと注文も増えるでしょう。UberEatsも雨の日は注文が多いと聞いています。タクシーも雨の日は乗車が増えるのと同じです。
リアルスーパーの客足が落ちる日に、注文が増えるのがネットスーパーです。つまり、売り上げを平準化させる効果があるわけです。これは、商売としては好ましい。
売り上げをアップダウンさせる天候不良という外乱を平準化させることができるサービスとしては、効果的です。
コンビニやスーパーのようなお店は、最近は民間の天気予報会社から、お店の近くのピンポイントの天気予報を買っています。そのため雨が降る日には、コンビニに必ず傘が置いてあるというようなオペレーションが実現しています。
傘のように、雨の日に売れる商品はありましたが、客足が落ちるということに対しては、対処のしようがなかったわけですが、ネットスーパーを併用することで雨の日も売り上げをキープできる可能性が出てきたわけです。
ネットスーパーならではのオペレーション
最後に、ネットスーパーならではのオペレーションについて考えてみたいと思います。
店頭だと特売日はひとつの商品に限っていえば数日ですよね? ですが、ネットスーパーだと特売は1ヶ月間続きます。イオンのネットスーパーのチラシが封入されていましたが、10月2日から31日まで50品の商品がお値打ちと書かれています。
特売日を長くとることができれば、チラシの期間も長くなりますから無駄がありません。対して、新聞の折り込み広告の場合、すぐに買い物にきてもらう必要がありました。
さらに新聞の売り上げは低迷していますので、折り込み広告で客を呼ぶというビジネスモデルが崩壊しつつあります。
ネットスーパーのチラシは、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県と書かれています。個店ではなく、イオンという広域に展開するスケールメリットもあるようです。同じチラシを使うことができますし、大量仕入れで商品仕入れ値も抑えていると思われます。
別のネットチラシは、おせち料理とクリスマスケーキでした。まだ早いですが、ネットスーパーならば記憶に残っていれば数ヶ月先にお客になる場合もありそうです。予約販売できれば、商機を逃す心配もありません。新聞広告の折込チラシでは不可能な現象です、
アマゾンと同じように買ったものが届くネットスーパーですが、改めてみてみると、新しいビジネスモデルなのです。ということで、今後も新しい動きが出てきそうです。
買い物におけるネットとリアルの融合に今後も注目です。