ビジネス書作家で商品開発コンサルタントをしている美崎栄一郎です。キャッシュレスについての本を書いたご縁で、すごいカードで、連載「お金マンダラ」を始めることになりました。
この連載では、お金にまつわる話を色々と話題にしたいと思います。物事の仕組みを探求するのが好きで、歴史好きでもありますので、話がやや脱線気味になるのはご了承ください。
雑談で1時間100万円?!
クラブハウスという音声のSNSがありまして、ざっくり乱暴に説明すると、だれでも話し手になれて、繋がっている人で雑談できるというサービスです。
雑談と言っても、ちゃんと喋る人が喋ればセミナーにもなりますし、話し手と受け手がしっかりしていれば対談にもトークイベントにもなります。
視聴は、誰でも自由にできます。私もふらっと立ち寄ったクラブハウスの部屋で聞き耳を立てていると、1時間で100万円稼いだという人がいたので驚きました。
ただ、ものすごく買ってくれというアピールは、私が聞いている範囲ではしていません。通販番組のように、めちゃめちゃPRはしていないのに・・・
気になった私は、Twitterで「クラブハウス上で公開取材させてください」と連絡してみました。
クラブハウスで公開取材
翌日、クラブハウスの公開取材させていただきました。
公開取材の部屋を作って、視聴者のいる前で取材です。
私は著者という立場で、取材をたくさんしていますし、取材されることもたくさんありますが、公開で取材というのは初めてでした。対談セミナーをするような感覚で、なかなか妙な感じです。
クラブハウスは録音もメモも禁止のメディアですが、双方の合意があればOKということです。ちなみに、この記事も1時間で100万円稼いだというオミさんの許可の元、この画像も取材の内容も公開しております。視聴してくださっている人の画像も許可をもらっております。念の為。
日本で一番高い生甘酒の話
さて、100万円の稼ぎ方の前にオミさんの会社と本人のプロフィールをまずご紹介しておきます。
本名は阪田真臣(さかた まさおみ)さん。4年前に発酵業界で起業されました。「食べる美容酵素ジェラート amakouji」の代表取締役で、自身で、生甘酒を作っています。酒蔵でいうと、杜氏兼CEOという感じでしょうか。
甘酒というのは、酒を作る副生成物で、酒蔵がおまけ的につくる印象があります。ですから、単価も安い。
これに対して、オミさんの生甘酒は、300gで2,000円と高価です。オミさん曰く、「日本で一番高い生甘酒」。オミさんの会社では酒は作らず、生甘酒のみです。ですので、これが主力商品です。
食べる美容酵素ジェラート「amakouji」
クラブハウスでの取材は、取材というより通常の対談企画といった雰囲気で1時間お話しいただきました。
オミさんは、味の話をしませんでした。美味しいという言葉くらいは出ていましたが、サラッとです。本人も1時間で100万円売れたときも、味の話をクラブハウスでしたから売れたわけではないと仰っていました。
生産者が報われる社会へ
オミさんの実家は、和歌山のみかん農家で美味しいみかんが、安い値段で売られているのに疑問を持ち、オミさん自身が、高い値段で売ることを試したことがあるそうです。
そうやって値付けをしてみると、価値がわかってもらえると飛ぶように売れた。
オミさんは、いいものを高く売ることで生産者が報われるんだと確信し、生甘酒も安売りせずに適正価格での値決めをして、結果、日本で一番高い生甘酒になったそうです。
生産者が報われるためには、適正な価格が重要だと言います。
クラブハウスでモノを売るには、他己紹介
オミさんは取材時点で、クラブハウスで6k(6,000人)のフォロワーがいました。本を40冊以上出している私、美崎栄一郎がこの時点でフォロワー数は1.5k(1500人の)ですから4倍です。
オミさん自身が生甘酒のルームを作って話すというようなことはしていません。他人のルームに行くと、誘われてスピーカーに上げられて、少し話すという繰り返しだそうです。
そのルームでは、ルームの主催者がオミさんの紹介をスピーカーに上げるタイミングでするわけです。「日本で一番高い生甘酒を・・・」のように、で、自然とウリウリでない形で、オミさんの起業の想い、生産者としての想い、お客さんの反応などを話すことができ、自然と、オミさんのTwitterやインスタのアカウントから連携されている直販サイトで購入をクラブハウスでの話を聞いている最中に買って行く人が多いそうです。
信頼のある登壇者が紹介するオミさん、そこで想いを伝えて、共感した人が、聞いている最中に、ネットと繋がっているスマホで、直販でサクサクと商品を買っていく。 それがクラブハウスで1時間で100万円売れた流れだそうです。
クラブハウス内みんなでランナーを一緒に歌うというイベントをされているサンプラザ中野くんも、同じルームにいらっしゃって実際に、生甘酒を買ってくださったそうです。
通販番組では自分で番組を企画構成して売りますが、クラブハウスで売る場合はこれではダメなようです。他人のルームに呼ばれて、他己紹介され、スピーカーとして上がって、知らない人の前で話すことで、新規のお客さんを開拓する。
商品をPRするのではなく、商品への取り組みのストーリーを伝える。
新しいツールでの売り方は、従来とは違う伝え方が有効のようです。クラブハウスはスピーカーは一人だけです。巨大な企業もオミさんのような一人でやっている企業も立場は同じです。想いを強く伝えるという点では、逆に組織化されていないけれど、個人の声は強く響きます。
クラブハウスによる情報発信
クラブハウス自身はまだ課金システムは搭載されておらず、投げ銭などの仕組みで稼ぐことは難しいメディアです。ですが、小さい会社や個人にとっては、声だけで大企業とも戦える無限の可能性を秘めたツールでもあります。
クラブハウスは現在iOSユーザーしか参加できないサービスですが、音声メディアは今後のWEBサービスの主戦場とも言われています。Facebookなどの巨大SNSも進出が噂されています。今後の展開にも要注目です。