お金に困っていると、「とにかくどうにかしてお金の問題を解決したい!」「だれかに助けてもらいたい!」という気持ちになるでしょう。
そんなときに、「気軽に借りられる」「個人間の取引でOK」「個人なので審査も厳しくない」という謳う書き込みがあったら、飛びつきたくなるのは人間のサガかもしれません。
しかしこの「個人間融資」は非常に危険なものです。
なぜ危険なのか、そして本当に困っているときはどう解決していったらいいのかを、ここで解説します。
今回はこれについて取り上げていきましょう。
個人間融資とはいったい何か? 掲示板で募るやり口について
金融庁も警告を出している! 利用することで起こりうるトラブルとは
少額融資掲示板で借金する前に考えたいこと・借金をしなければならない状況で選ぶべき選択肢
個人間融資とはいったい何か? 掲示板で募るやり口について
まずは、「個人間融資とは何か」から解説していきます。
個人間融資とは
「個人間融資」とは、その名前の通り、「個人間でお金の貸し借りをする方法」をいいます。
厳密には、「友人に10,000円を借りる」「親に30,000円を借りて、次の給料日にすぐ返す」なども「個人間融資」にあたると考えることもできますが、一般的にこれらは個人間融資には含まれません。
「個人間融資」という言葉が使われるのは、「見ず知らずの個人から、SNSや掲示板を通じてお金を借りる方法」をいいます。面識がなく、貸金業者でもない相手から借りる個人的なやりとりを指すのです。
掲示板でみられる書き込み
「個人間融資 掲示板」で検索すると、多くのサイトがヒットします。
サイトによって違いがありますが、多くの場合、「貸したい人向け」と「借りたい人向け」に掲示板が分けられており、それぞれの立場に合う方に登録できるようになっています。
貸したい人向けのページでは、
- 融資可能額
- 融資期間
- 融資方法
などが記載されています。
ID:××××01234/登録した日付 | 名前:貸付太郎 |
住所 | 愛知県名古屋市 |
融資可能額 | 50万円まで |
融資期間 | 1か月間、翌月の給料での返済求む。ただし、信用ができたら交渉可能 |
融資方法 | 対面、もしくは指定銀行に振り込み |
自己破産に対応可能か、不可能か (※「ブラック」「債務整理」などの項目が設けられていることもあります) |
可能 ※「メッセージ、詳細」で、「定収入がない人には貸付を行えない」などの文言が追加されることもあります |
メッセージ、詳細 | ブラックでも、自己破産をしていても、債務整理の経験があっても、融資可能です。 即日融資ができるのでご相談ください。主婦の方や学生さん、無職の方にも貸付ができます! 電話で詳細をお聞きしますし、できるだけご希望に合わせてご融資させていただきます。一緒にこの難しい状況を乗り切っていきましょう(*^^)ノ |
また、借りたい人向けのページでは、
- 住所(都道府県まで)
- 年齢
- 希望する額
- 給与額
などを書き込むことになります。簡単なメッセージをつけることもあります。
ID:△△△_54321/登録した日付 | 名前は無記名の場合が多いといえます |
住所 | 福岡県 |
年齢 | 30歳 |
希望する額 | 10万円 |
給与額 | 15万円 |
メッセージや詳細 | コロナの影響で、取引先が倒産、その煽りを食らって勤め先も危うい状況です。現在は薄給ながら一応給料は出ていますがそれも減額、このままでは転職活動もままなりません・・・・・・。 クレジットカードによるキャッシングも難しい状況です。 次の給料日までのやりくりが厳しいので、どなたか力を貸してくださる方を切実に求めています。 再就職が決まる前は月に10000円程度、再就職が決まりましたら毎月2万円~3万円の返済をお約束出来ます。子供も小さく、子供の為にも何とかしたいです。どうかよろしくおねがい致します。助けて下さい。 |
SNSを使う場合もある
また、ツイッター(Twitter)などのSNSを使って呼びかける場合もあります。
などのようにつぶやき、困っている人を誘引しようとします。
これらの個人間融資を募るアカウントは非常に多く、少し調べるだけでも大量に出てきます。また、中には違法な画像を使っていたり、LINEなどに直接誘引しようとしたりしているアカウントもあります。
なお、「お金を借りたい」などとつぶやく人がいた場合、そのつぶやきに対して、「稼げる副業があるのでDMをさせてほしい」「個人でお金を貸すので、メッセージでやりとりをしよう」と呼びかけるものもあります。
加えて、このようなタグのなかで、すでに犯罪行為を行うことを前提として呼びかけているものなどもあります。
金融庁も警告を出している! 利用することで起こりうるトラブルとは
「業者からお金を借りるのは怖い」
「闇金の話などを聞くと、貸金業者からお金を借りたくなくなる」
という人にとっては、この「個人間融資」はとっつきやすいものに見えてしまうでしょう。
しかし実はこの個人間融資は、非常に多くの問題点を持つものなのです。
個人間融資は貸金業法に抵触することもある
日本には、「貸金業法」があります。この貸金業法とは、
貸金業を営む場合は、国又は都道府県の登録を受ける必要があります。
引用:金融庁「貸す側も、借りる側も#個人間融資に要注意!」
としたものです(それ以外にもさまざまな要綱が盛り込まれています)。
もちろん、「友達がサイフを忘れてきてしまったので5,000円貸した」などのようなケースは法律に抵触しません。
しかし反復的に金銭を貸すことを繰り返している場合は「貸金業」に該当しますし、またこの貸金業を許可なく行うことは違法となります。
元々違法行為をしている人間を相手にするわけですから、トラブルが起きる確率は高くなりますし、またそのトラブルが深刻化するケースもよくみられます。
個人間融資によって起きるトラブル
個人間融資によって起きるトラブルは数多くありますが、代表的なものとして以下のようなものが挙げられます。
1. 法外な利子が科せられることも
金額によって違いはありますし、また一部では特例もありますが、貸金業者がお金を貸すとき上限金利は年20パーセントを上限とします。
しかし上で取り上げた「例」のように、個人間融資の場合は「1週間で3割」などのような法外な金利を貸すこともよくあります。
これは闇金などにもよくみられるものであり、当然違法です。
なお、なかには利息などの情報を一切記載しないところもあります。ただ、「利息が記載されていないから、利息は0なのだ」と思い込むことは当然危険です。
2. 個人情報を担保にさせられる場合もある
「個人間融資を希望する人間」の個人情報は、悪意ある人間にとって非常に貴重なものです。このような人はお金に困っており、グレー~ブラックな行為に巻き込みやすいからです。
また、振り込むために渡した個人情報を悪用されるケースだけにとどまらないこともあります。「友人のLINEアカウントを複数名教えることを条件とされた」などのように、他者に迷惑をかけることを前提とした話が持ちかけられる場合もあります。
3. 保証金の支払いを求められて、結局借りられなかったケースもある
個人間融資では、「いくらでも貸す。その代わり、まず初めに保証金として、貸付希望額の1割を振り込んでほしい」と呼びかけてくる場合もあります。
もちろん、このときに振り込んだ金額は原則として返ってきませんし、貸付が行われることもありません。初めから「保証金をだまし取る」という目的で、掲示板やSNSを利用しているからです。
4. 性犯罪などの温床にも……
個人間融資はしばしば、性犯罪にも結び付きます。
お金を貸し付ける条件として裸の写真を送れと要求されたケースもあります。また、もっと悪質なケースでは、肉体関係を結ぶことを条件とする場合もあります。
なお、「高い金利でお金を貸し付け、その代償として肉体関係を結ぶように要求する融資方法」は、特に「ひととき融資」と呼ばれます。主に女性をターゲットにした手口であり、肉体関係を持ったのちにお金を融資します。しかしこのお金は、あくまで「借りたもの」であって、「支払われたもの」ではありません(もちろん、対価を受け取って肉体関係を結ぶことにも問題はあるのですが)。
そのため、女性側は肉体関係を結んだうえで、お金を返していく必要が出てきます。加えて、借りたお金が残っている場合は、その期間中ずっと求めに応じなければならないケースもよくみられます。そしてこのようなケースでも、科される金利は一般的な融資よりもずっと高額なのです。
一度画像を渡したり、勝手に撮影されたりした場合、その画像や動画は自分の物ではなくなります。インターネットに流されたり、利益目的で他の人間に譲渡されたりする可能性もあるのです。
なお、「風俗への勧誘はしない」などと謳っているアカウントであっても、「本当にそのようなことをしないか」を担保することはだれにもできません。個人間融資はそもそも違法なのですから、そのような違法行為を行う人間の呼びかけを信用するのは間違いだといえます。
◆ ◆ ◆
このように、個人間融資には数多くの危険が潜んでいます。個人間融資に頼る人はすでに混乱状態にあるため、「相手が個人ならば、大きな組織が絡んでこない分だけ安全」と考える人もいるでしょう。
たしかに、「大きな組織がいれば絶対に安心」とまではいえません。ただ、個人間融資の場合、貸金業法を無視した呼びかけが行われる危険性が非常に高いといえます。
わずかのお金のために、今後の人生のすべてが狂ってしまう可能性すらあるのです。
少額融資掲示板で借金する前に考えたいこと
借金をしなければならない状況で選ぶべき選択肢
「それでもお金に困っている。どうにかしてお金を手に入れなければ、生活が立ち行かない」という人もいるでしょう。
そのような場合は、どうすればよいのでしょうか。
安易に借金をする前に検討したいこと
まずは安全性が高く、信頼のおける対策を検討してください。
その方法とは、「国や銀行、弁護士を頼る」というものです。
生活福祉資金貸付制度
「生活福祉資金貸付制度」とは国が行っている施策のひとつです。状況によって利用できるプランは異なってきますが、毎月一定額(数十万にのぼることもあります)を借りることのできる制度もあります。
特筆すべきは「貸付利子の低さ」です。保証人がいれば無利子で、保証人がいなくても年利1.5パーセントで借りることができます。
借りるまでにはある程度の時間が必要ですが、お金を返すための期間も長く撮られており、「10年以内に返せばよい」としているものもあります。
何よりも、国が行っている制度のため、安全性と信頼性が高く、困ったときにも安心して頼れます。
金融機関への相談
金融機関でも、借金の相談を引き受けています。「全国銀行協会相談室」にアクセスすることで、必要に応じて銀行窓口につないだり法テラスにつないだりしてくれます。また、それぞれの銀行でも、返済が難しくなった人のための相談窓口をひらいています。
対面での相談は、平日の9時から17時(曜日によっては19時)までとなっていて、東京都の千代田区で行われています。実際に行く場合は、まずは予約をしてください。
なお2020年5月現在、新型コロナウイルスの影響もありますから、実施時間などについては確認が必要です。
遠方で足を運ぶのが難しいという人は、まずは下記の電話にかけてください。電話相談も可能です。
電話番号:050-3540-7553
弁護士事務所
「多重債務に陥っており、お金が返せる見込みがない」
「違法な金利を課せられている」
「上記で挙げたトラブルがすでに悩まされている」
という場合は、ためらわずに弁護士事務所を頼ってください。
弁護士は法律に基づき、事態の解決に動いてくれます。
なお、弁護士事務所では「借金に関する相談は、無料で引き受ける」としているところが基本となるため、手持ちのお金がなくても駆け込めます。
どうしても借金をする必要がある場合は大手のキャッシング会社へ
上記の方法を検討しても、「それでもどうしても、明日~明後日のお金が足りない」という緊急事態の場合は、大手の消費者金融について調べてみても良いでしょう。
個人間融資の場合とは異なり、大手のキャッシング会社は貸金業法にのっとって運営されているため、法外な利息をとることはありません。
また、「30日間以内に返せたら利息は0」としているところもあります。
もしお金を借りる場合は、個人間融資に頼らず、これらの大手業者を選択肢に入れるようにしましょう。