今回は自らのカフェを経営しながら、「恐竜画家」として活動をするCANさんにインタビューを行いました。
CANさんは、元々は水質調査を行う会社で正社員として勤務していましたが、途中で退職。その後、数年間はフリーターとして活動を行い、そこからカフェを開業しました。
今では恐竜画家としても活動を行い、恐竜の絵本まで出版予定(2019年8月)と、かなり活動の幅を広げています。
そんな個性豊かなCANさんは一体どんな生活を送ってきたのか?今回はCANさんの人生を「お金」から読み解いていきます。
「お金より紙とペン」芸術一家に生まれ育つ、ちょっと不思議な学生時代
ー本日は取材を受けてくださりありがとうございます。よろしくお願い致します。
CANさん:はい。よろしくおねがいします。
ーまずは小さい頃の「お金の使い方」から日々の生活を教えてください。
CANさん:小学生までは、お小遣い制でもなかったこともあって、お金なんてほとんど使っていなかったですね。絵を描いたり、昆虫を観察したりして、遊んでいました。
ー虫の観察ですか!?ゲームなどは、やっていなかったのですね。
CANさん:友達の家で数回ゲームを遊ぶことはありましたが、私としては芸術や自然と触れ合う方が楽しかったです。家の花壇にいる虫を毎日観察したりもしましたね(笑)
ーなかなか不思議ですね(笑)昆虫観察や絵を描くことは、なぜ楽しかったのですか?
CANさん:昆虫観察は化学が大好きだった父の影響もあるかと思います。「この小さな身体の中にも、意識や生命器官があるのか」と昆虫を見て感動したこともありました(笑)あと、絵を描くことは、画家としても活動していた叔母の影響ですかね。描くたびに絵を褒めてもらえて。
ー本当にご家族の影響を強く受けて育ったのですね。
「恐竜を通じて生命や地球全体に魅了された」恐竜との出会いと大学生時代
ー恐竜との出会いはどんなきっかけだったのですか?
CANさん:関心自体は小さい頃からあって、よく京都の科学センターにあるティラノサウルスの大きいロボットを見に行ったりしました(笑)でもハマったのは高校時代です。図書館で勉強の息抜きに読んだ恐竜の本に衝撃を受けましたね。
ーまず息抜きで恐竜の本を読むことが驚きです(笑)どんな衝撃を受けましたか?
CANさん:1番の衝撃は「恐竜が現実と結びついたこと」です。今までファンタジーっぽい存在だった恐竜が、論文などを読んで、「本当に20m以上ある生き物が地上で、しかも1億8,600万年も生きていたのか!」と。あとそんな恐竜がたった一回の隕石で絶滅するなんてと考えると、地球や宇宙全体の凄さが、ふと見えた気がしました。
ー難しい…でも何となくわかります。恐竜そのものというより、恐竜からわかる宇宙や地球全体の魅力に気づいたということですかね。
CANさん:そうですね。まあ恐竜自体も大好きなのですけどね(笑)
ーそして大学で地球科学を学んでいたそうですが、大学生生活はどう過ごしていましたか?
CANさん:週4か5でバイトしていましたね。大体月12,3万くらい稼いでいました。だからあまりお金に困った生活などはしていなかったです。ただ登山用具とかは高いので、カツカツになる時期はよくありました。
ー登山用具?山登りが趣味だったのですか?
CANさん:いえ、実習で山を登るので。実際に地層を掘る作業とかがあるので、しっかりとした登山用具が必要でした。
ー-じゃあバイトをしても洋服とか好きなものにお金を使うことは少なかったのでしょうか?
CANさん:その頃はそもそも洋服に一切興味が無くて(笑)中学・高校生時代の洋服とか平気で着ていました。
ーそれは驚きです(笑)じゃあカツカツになってもあまりお金に執着とかは無かった?
CANさん:なかったですね。お金なくても生きていけるなという気持ちが強かったです。
「恐竜の研究はお金がかかる」恐竜研究の道でなく、会社員としての道を行く
ーさて大学卒業後の進路ですが、なぜここから研究職ではなく、就職したのですか?
CANさん:それが研究職ってもの凄くお金がかかってしまって。
ーそんなにかかるのですか!?
CANさん:はい。そもそも日本で最高峰の恐竜の研究をするには、きちんと博士課程まで進学して、さらに海外の研究チームで実際に恐竜発掘とか行わないと厳しいらしくて。そうなるとまず500万くらいは必須でした。
ーまずがものすごい金額ですね。お金が原因となると後悔などは残っていますか?
CANさん:いや特に後悔はないです。そもそも研究職向いていないと思っていたので、ちょうどいいや!と思っていました(笑)地道にコツコツした作業が苦手だったので。
ーなるほど(笑)そうして新卒で入った会社はなかなかブラックだったとか...
「朝5時から夜10時!?」新卒ブラック会社での生活、そしてフリーターへ
CANさん:いやーブラックでしたね(笑)朝5時には工場に行って、夜10時に帰る。しかも残業代がゼロという環境でした。会社行ったその日に「ここはヤバい」と思いましたよ(笑)
ーそれでも1年は続けられたと聞きましたが、一体なぜですか?
CANさん:やっぱり親も喜んでくれましたし、普通に働いている同僚などを見ていると、別にこの環境って普通じゃないかと洗脳されていたのかもしれませんね。
ー残業代がゼロとなると、生活も大変でしたか?
CANさん:そうですね。初任給も19万円程度な上に、気がおかしくなると思うと怖くて、休日に実家に帰ったりしていたら、ほとんど交通費でお金は無かったです。
ーしかし2年目には退職したそうですが、ここはどんなきっかけがあったのですか?
「久々に会った母親は成功者」初めて身近で発見した成功者の姿
CANさん:これは産みの親との再会がきっかけです。22年ぶりくらいに産みの親と会ったときに、母親がものすごい成功者になっていて。
ー成功者とは?具体的にどんな方だったのですか。
CANさん:もの凄い豪邸に住んでいて、年収も2000万円はあるような感じでした。それまで身近にそんな成功者いなかったので、「こんなライフスタイルが現実にあるのか!」と驚きましたね。
ーすごい成功者ですね!ではその衝撃を受けて、自分もそうなりたいと感じたのですか?
CANさん:そこは難しいのですが、母親のようにお金持ちになりたいというよりは、やりたいことで成功している母親を見て、自分のやりたいことで生きる生活を考えるようになりました。
ーその結果、お仕事をお辞めになったわけですね。でも金銭面など不安は無かったのですか?
CANさん:全然なかったです。母親が成功できるなら、自分もうまくいく!と思い込んでいました。
ー実際は辞めた後の暮らしはどうでしたか?
CANさん:過去最高に困窮していました(笑)。カフェやりたいと思って、開業資金をネットワークビジネスで稼ごうとする。でもそのネットワークビジネスにも元手が必要だから、飲食店でバイトをする、、結局支出の方が大きくなっていました。
ーなかなか母親のような成功者にはなれなかったと。いつ辞められたのですか?
CANさん:この生活を辞めたのは、大体2年が経過したくらいです。銀行口座が100円切るような生活の中、バイトも掛け持ちするようになり、少しずつおかしいなと感じていた時に、とあるきっかけがあって辞めました。
ー-口座残高100円はひどいですね。ちなみに、とあるきっかけとは?
CANさん:他のメンバーとの仲違いです。私はあくまで好きなことをやるための資金集めだったのですが、周りはお金を稼ぐこと自体に必死な人が多くて、お金の執着心が強すぎて、辞めました。でもこれがきっかけで夢のカフェ開業が叶いました。
「やるなら相談に乗るよ」アニソンバーでの奇跡の出会いとカフェ開業まで
ーなぜカフェの開業が叶ったのですか?
CANさん:実はネットワークビジネスを辞めることで、時間のゆとりができたので、今まで断ってきた友達のお誘いなどに行くようになりました。あるときアニメソングバーに行った時の経営者が色々カフェ経営に関して教えてくださりました。
ーその人のアドバイスの下で開業が進んでいったのですね。でも開業資金はどうしたのですか?
CANさん:開業資金は借りたりしました。事業計画書を作って見せたあたりから、「こいつ本気だな」と思ってくれたらしくて、資金繰りに関して色々教えてくださったので。
ーなるほど。意外と進めてみたら、お金などの準備も何とかなったのですね。
CANさん:はい。特に融資を受けるための元手を稼ぐために働いた祇園での高級クラブの仕事は良かったです。お給料はもちろん、人脈が広がって開業で色々助けていただきました。内装工事とかもその時知り合ったお客さんですね。
「自分ももっと楽しく絵を描きたい」恐竜画家としての歩み
ー紆余曲折へとカフェを開業なさった後、またご自身で絵を描こうと考えたのはどうしてでしょうか?
CANさん:やっぱりお客さんが楽しそうに絵を描いている姿を見たからです。私のお店、「創作空間cafeアトリエ」では様々なお客さんが楽しそうに絵を描いているので、それを見ているうちに、私も絵を描きたいと思って。幼い頃、画家志望でもあったので。
ー恐竜を描き始めてからはどんな活動をされているのですか?
CANさん:画家って好きな時に好きな絵を描いて100万円とか売れる世界なので、それに憧れてやり始めたのですが、今はその前の名前を売り込む段階です。なので、恐竜アニメの原画を担当したり、絵本執筆を行うなど、積極的に前に出ています。
ーすごい行動力ですね!じゃあ現在は自営業でもお金に困ったりはしていない?
CANさん:実は売上とかあんまり見てなくて(笑)毎月の引き落としさえ払えればいいやとしか思っていないので、稼げているかはわからないです。でも開業当初は売上ほぼゼロで大変でしたね。
「お金はツールの1つ。無くても心配いらない」CANさんのお金に対する考え
ー最後になりますが、CANさんにとってお金とは何でしょうか?
CANさん:お金はツールの1つかな。あったらあるだけ選択肢が増えるツール。でも絶対必要なものでもない。だから私の場合には、お金を稼ぐことだけに執着せずに、ゲームみたいに楽しんで働いています。
ー確かに。CANさんの場合、最終的にはお金よりも人脈でやりたいことを実現していますね。
CANさん:もちろんお金が本当に無いときは、稼ぐこと自体が大切ですが、今は特に生きていけているので。だから皆さんにも、お金を稼ぐことを恐れずに、楽しんでやりたいことに挑戦してほしいですね。自分をチンパンジーだと思って。
ーチンパンジーですか?それは一体どういうことでしょうか。
CANさん:比喩なのですが、要するに、自分なんてこの地球上の1つの生命だと思ってほしいということです。考えてほしいのですが、動物とか人間以外の生命って別にお金が無くても生きているじゃないですか。私たち人間だって、同じ生命なのだから、結局なんとかなると思って挑戦して欲しいです。
ーなるほど。あまり気負いせず一歩踏み出して行動すれば、何とかなるよ。
CANさん:はい。私も挑戦したり、プレッシャーを感じる時は、考えるようにしています。
ー本日は貴重なお話ありがとうございました。
CANさん:ありがとうございました。
「地球上の一個の生命体に過ぎないと考える」スケールが大きい話の連続で、大変面白かったです。
いつの間にか自らが生み出したお金に縛られている人間社会。そんな中で彼女のお話は、こちらの常識をぶち破るような鋭さがありました。
「お金とは何なのか?」ぜひ皆さんも一度考えてみてはいかがでしょうか?