これまでの賞金でマンションを購入している懸賞の達人、長場典子さん。
長場さんは31年の懸賞生活で、景気や経済も実感していると語ります。バブル期から東京五輪、「RT(リツイート)で100万円プレゼント」まで懸賞から見る経済、そして「お金」について語ってもらいました。
懸賞で手に入れたのはマンションだけじゃありません
2020年、熱い懸賞はこれだ
懸賞を見れば経済が分かる
10人中9人は、チャレンジもせず諦めている
「長場さん、ぼくも懸賞で稼げますか?」
最新著書紹介
懸賞で手に入れたのはマンションだけじゃありません
–長場さんが懸賞を始めたきっかけは何だったんでしょうか?
懸賞でマンションの頭金をゲットする、と思い立ってからですね。
初めて当てた賞品はウェッジウッドのイヤープレートと、同時期に現金5千円でした。
のめり込んでいったのは20代です。懸賞でマンションの頭金をゲットするという目標に向かって邁進していました。
–過去の賞品には高価なものがたくさんあると思いますが、とくに嬉しかった賞品は何でしょうか?
1位 続けた結果マンションを購入できたこと
2位 ウェレンドルフの指輪(207万円)
3位 プラチナダイヤモンドペンダント(100万円)
4位 カルフォルニアディズニーランドペア3泊4日 海外旅行はトータル10回ほど
5位 ゴールドバーや指輪などの金 トータル100万円相当 税金の支払いに換金
6位 高級ホテルお食事券1年分(12回分)
–すごいですね!総額いくらくらいになりますか?
多分4000万超えています…みなさん驚かれますが、いろいろな事情でマスコミに出ていない私よりずっと当てている達人さんはたくさんいらっしゃるんですよ。
お茶を出していただいたコーヒーカップ、お皿も懸賞の当選品。
–続けた結果マンションが購入できたっていうのは、どういうことですか?当たったものを売ってマンションのお金に?
20~30代の頃は、ラジオや雑誌はお便りが採用されると謝礼が現金のことが多く、月10万円を目標にしていました。さすがに現金10万円は達成しませんでしたけど、1カ月の最高額は98,000円くらいだったかな。
ラジオ番組に感想を書いて送ったら、1名様プレゼントのガスファンヒーターが当たりました。それが最初に実感した懸賞のテクニックでしたね。
2020年、熱い懸賞はこれだ
–最近の懸賞はハガキだけでなくWEB懸賞企画も増えていますが、利用する割合が高いのは何ですか?
SNS懸賞などが流行っていますが、ランダムに抽選されるものやターゲット層に向けて行われるものなど、今後ますますAIが当選を管理することになるので…
当選確率が高い懸賞はやはりハガキ懸賞になると思います。
–ZOZO元社長・前澤さんの“懸賞系ツイート”はどう思いますか?応募されましたか?
前回の前澤社長の100万円プレゼントの当選者は「今、夢に向かって進行中のことをしている」人たちがほとんどでした。前澤社長にとってみれば大変貴重な情報収集であり、人材発掘にもなっているキャンペーンだと思います。
大きな花火を打ち上げたおかげで、マスコミもネットも前澤社長一色となり、優秀な人材を自分から探さなくても自ら名乗り出てくれる、とてもお得な広告費だったと思います。
私も夢はありますが、今、公にするのは恥ずかしいことなので応募しませんでした。
–今“熱い”懸賞があれば、教えてください。
今年は五輪関連の懸賞が熱いはずだったのですが、新型コロナウィルスの影響で五輪が延期になったため、一時的にトーンダウンしますが、ウィルスに効く薬やワクチンが出れば、一気にまた五輪関連の懸賞が熱くなります。ですが、五輪関連のキャンペーンが中止になっているわけではなく、引き続き実施していますので、オフィシャルスポンサーのホームページなどをチェックすることをおススメします。
–今と昔で懸賞の攻め方はどのように変化しているのでしょうか。
基本的には変わりません。最終的に「血の通った人間が携わる」ということです。
また、当りやすい時期というものがあります。それが「移行期」です。
例えば、ハガキ応募からネット応募、ネット応募でもHPから応募するものがSNSで応募するようになるなど。
まだ、やっている人が少ない、成功体験の情報が出回っていない等々。つまりライバルが少ない「移行期」はねらい目です。
懸賞を見れば経済が分かる
–懸賞と社会や経済の関連を感じることがあれば、教えてください。
経済と懸賞は常にリンクしています。
懸賞を実施する企業に体力がなければ、キャンペーンを実施できないでしょう。また、経済が低迷すれば企業もキャンペーンに予算をかけられなくなってしまいます。
バブル期は、企業がイメージアップを図るためのキャンペーンとして、買い物をしなくても応募できる豪華なオープン懸賞が多かったです。
バブルがはじけると豪華なオープン懸賞は身を潜め、売り上げに直結する買い物をして応募するクローズド懸賞が増えました。
そして今は情報を拡散させるためのSNS懸賞が増えています。
–懸賞を見れば経済が分かる…すごく面白いですね。
経済も分かりますし、企業は懸賞を盛り上げるために魅力的な賞品をプレゼントします。その魅力的な賞品はトレンド賞品のことが多いんです。
–なるほど、情報を先取りできるというわけですね。
そうなんです。電化製品でしたらダイソンやブルーノがいい例ですね。
10人中9人は、チャレンジせず諦めている
–これから懸賞を始める人へ、どのように始めることをおすすめしますか?
とにかく半年続けてみること。ただ漫然と続けるのではなく、達人さんと言われる人たちは当てるテクニックを書籍や専門雑誌で勉強しています。
ネットでも当てるテク等載っていますが、表層的な情報でしかありません。ネット情報だけで達人さんたちと同じ土俵に上がるのは大変なことではないでしょうか。
–懸賞を楽しむコツはありますか?
無理をすると続きませんので、自分ができる範囲の目標設定が大事だと思います。
–散々聞かれたとは思いますが、懸賞に当選するためのコツを教えてください。
10人いたら9人が「そういうのって私当たらないから」とチャレンジもせず、あきらめています。懸賞に当たっている人は懸賞に興味を持ち、ある程度の執着心がある人に当ります。
同じ「懸賞のポスター」があっても興味がある人は目をとめてアクションを起こす。
興味のない人は「そんなポスターあった?」と見逃しています。その違いです。
また、懸賞は手間がかかるほど、応募が少なくなります。ハガキで応募する懸賞はスーパーや新聞、雑誌などまだまだたくさんありますので、簡単に応募できるネット懸賞よりハガキで応募する懸賞はねらい目ですよ。
–まずは挑戦すること。その他に、応募するときのコツはありますか?
やはり皆さん、手間暇がかかるものは避けます。「あなたのエピソードも添えて応募して下さい」「シール100枚集めてください」のようなものは、応募も少なくなるので、当たる可能性は高くなります。
あとは、応募先によってハガキも工夫してみてはいかがでしょうか。
普通の真っ白なハガキで応募するよりもひと手間を加えて応募した方が目立ちますよね。もちろん、そんなことをしなくても当たる懸賞ばかりですが、デジタル社会の今だからこそ文字を書く、デコレーションをすることは「気持ち」を伝えやすいのではないでしょうか。
–懸賞の魅力を教えてください。
毎日のお買い物も、家計とにらめっこばかりでは“ため息”しか出ませんが、懸賞に応募するというプラスαの手間はかかるものの、同じお買い物が、日常にワクワク感という刺激を与え、当たれば気分はハッピー、ときにはへそくりができることも魅力の一つだと思います。
事実、懸賞達人さんと言われる人たちは、なにをやっても3日坊主なのに懸賞だけは10年以上続けられているという人たちばかりですから。
「長場さん、ぼくも懸賞で稼げますか?」
–個人的には懸賞はお金の「節約」「稼ぐ」側面もあると考えています。懸賞でマンションの頭金をゲットしようと思い立つ、その考えが驚きです。普通は途方もないことですよね。
私の場合は時代がよかったこともあります。
例えば、ラジオのお便りコーナー、採用されれば「現金5000円~1万円」など、ざらにありました。当時は世の中がバブルでお給料も株価も高かったので「面倒をしてまで応募する人が少なかった」ことも幸いし、10枚応募して10枚採用なんてこともよくありました。
そういう状況であれば、「懸賞でマンションをゲット」も夢ではないと考える人は・・・私だけ? でしょうか(笑)
–直球ですが、懸賞は稼げるのでしょうか?
みなさん密かに応募しているんですよ。
昔はスーパーの懸賞専用応募ハガキの前に人が立ってることなどほとんどありませんでしたね。
それが今は子供からおじいちゃんまで老若男女、懸賞のハガキを物色していますね。
そもそも昔は、スーパーも懸賞に関心がなかったのでそういう棚も少なかったんですよ。
–それだけ昔より応募する人が増えているのでしょうか?
昔は「私、懸賞やってるの」なんて恥ずかしくて口に出して言う人は少なかったと思います。
「せこいと思われるのが嫌」という感覚が昔のほうが強かったと思います。
たとえば中古のものって昔は抵抗があったけど、今はメルカリのようなフリマアプリも普及して、誰かの手に渡ったものを抵抗なく使う人が増えているでしょう。
–確かに、メルカリで商売をする人もいますもんね。
正直、今は懸賞人口が当時より“果てしなく”増えました。
そのなかで達人になるのは大変ですが、「マメな性格」「サービス精神旺盛」であれば視点を変えて稼げる社会ではあります。
実際に当選品の写真をインスタグラムにアップしたり動画にして、「達人が教える懸賞情報」をSNSで提供してフォロワー数を増やして広告収入を得る達人さんもいるようです。
–長場さんにとって「お金」とはなんでしょう。
社会生活を送るために必要なものですが、それにプラスαのお金が意欲や心の豊かさを与えてくれるものになると思っています。