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お金とわたし
「今やりたいことを大切にする」東大卒兼業主夫が語る、お金と生き方

「今やりたいことを大切にする」東大卒兼業主夫が語る、お金と生き方堀込泰三さんすごいカードお金とわたし

他の人と違う生き方をしている人、夢を追い続けている人…。

社会の中に色々な生き方を選択する人が増えた。そんな人たちは、どのように生計を立てているのか。お金をどのように考えているのだろうか。

他人のお金の価値観、向き合い方について探る連載企画 「おかね」と「わたし」。

今回は、東大卒兼業主夫として活動する、堀込泰三さんにお話を伺った。 堀込さんは、東大卒業後に大手自動車メーカーに就職するも、子供と一緒にいる時間を大切に思い、会社を退職。その後は兼業主夫として活動を続けている。

「その時やりたいことを大切にして、思うように生きてきただけです。」
「偶然あった繋がりの積み重ねが、今の私です。」

やりたいこととお金の関係について、堀込さんに詳しくお話を伺った。

「ただ純粋に子供と一緒にいる時間が欲しかっただけです」

-堀込さんは現在どのような活動をしていらっしゃいますか?

堀込:現在は、一般社団法人リテールAI研究会の理事としての活動が主な業務です。
その他の時間で、翻訳活動やライフワークバランスに関する講演会への登壇を行っています。

-大手自動車メーカーの退職を決断した時にお金の不安はなかったですか?

堀込:お金の不安はなかったです。でも、お金のゆとりがあったわけではありません。
ただ純粋に子供と一緒に過ごすためには、会社を辞めるしかなかっただけです。

妻の仕事の関係上、妻と子供が海外に住んでいたため、日本の職場を辞めない限り、一緒に暮らすことができませんでした。
「子供と一緒に暮らせないのに、何のために仕事を頑張っているのだろうか?」
ふとこんなことを思うときがあって、そこから自然と会社を辞めることを考え始めました。
幸運なことに、両親や職場の人など周囲の人が主夫という道に理解を示してくれました。
だから、主夫への理解が進んでいなかった当時でも、特にトラブルもなく仕事を辞めることができました。

「翻訳の仕事も今の仕事も本当に偶然でした」

東大卒兼業主夫として活動する堀込泰三さん

-会社を辞められてから生活はどのように変わりましたか?

堀込:収入が減ったことによる生活の変化は、あまり実感しませんでした。

日本での生活からアメリカへの生活に変わったため、収入による生活の変化より、環境の変化が大きすぎたのだと思います。
しかし、収入が減って家計が厳しくなったことに変わりはなかったので、すぐにアメリカで兼業主夫として行える仕事を探しました。

プログラマーやデザイナーなど様々な仕事を検討した中で、最終的に翻訳業務を行うことに決めました。
別に翻訳が得意であった訳でも、報酬が高かった訳でもありません。
仕事を探しているときに偶然、翻訳教室の広告が目に入り、面白そうだから申し込んだだけです。
それがきっかけで翻訳を学んだら楽しくて、いつの間にか翻訳に没頭していました。

-フリーランスとして翻訳を始めて、最初から仕事はありましたか?

堀込:翻訳を始めた1年目や2年目は、定期的な仕事は全くなかったです。
翻訳を行う会社は数多くあるのですが、どの会社も既に依頼する人は決まっています。
新人の翻訳家が必要な会社は、滅多にありません。
いつも依頼する翻訳家が体調を崩した時などの代役として、急に依頼された仕事を必死にこなす日々でした。
日中は暇なのに夜中に一気に仕事が入ってくることもあり、仕事の量が読めないことは大変でした。

ただ2~3年目くらいに、定期的にお付き合いすることになるメディアと出会いまして、そこからは翻訳のお仕事も安定し始めました。
そのメディアとは今でもお付き合いしているのですが、この出会いも本当に偶然でした。
翻訳学校時代の同期が産休に入るため、代わりの翻訳者を探しているときに、偶然声をかけてもらいました。

現在の主な業務であるリテールAI研究会のお仕事も、きっかけは偶然でした。
数年前に、もう一度会社員として働こうと思い、就職活動を始めました。
そんな時に高校時代の友人から、偶然「最近どうしている?」と連絡が来ました。
就職活動をしていて、なかなか条件に合う会社がないと、正直に相談してみました。
そしたら「じゃあパートでよければ、うちの会社で働きなよ」と言われたんですね。
そして、今ではパートではなく、理事として働いています。

結局は、目の前のことに真摯に向き合い続ければ、あとは行き当たりばったりでも人生何とかなると思っています。

「お金が理由で、子供の望みを叶えられないことは嫌だった」

東大卒兼業主夫として活動する堀込泰三さん

-会社員として働くために、就職活動を始めたきっかけは何ですか?

堀込:会社員として就職活動を始めたきっかけは、子供が私立中学校を受験したいと言い出したことです。

お金の心配をしたことはなかったのですが、初めてお金で悩みましたね。
「フリーランスで順調とはいえ、明日仕事がなくなるかもしれないのに、大丈夫なのか?」
人生何とかなるという思いは変わりませんが、お金がないと子供の望みが叶えられないこともあるかもしれないと気づきました。

そこから会社員として働くために、就職活動を始めました。
でも小学生の子供もいるため、主夫を続けることは変わりません。
残業や出張は出来ませんという状況では、なかなか雇ってくれる会社は見つかりませんでした。
そんな時に偶然、高校の同級生から繋がったのが、今の仕事でした。

一般社団法人リテールAI研究会では、現在は事務のお仕事をしています。
今後は技術職として働きたいとも考えているので、大学院で2年間AI技術を学ぼうと思っています。

「悩みは抱え込まず、どんどん発信してほしい」

-最後に、夢とお金について悩む人に向けて、アドバイスをするとしたら何と言いますか?

堀込:とりあえず悩みを抱え込まないで、周りに発信したらいいと思います。
意外とみんな相談に乗ってくれますよ。
私の場合、今の仕事は「仕事を紹介してくれよ」と素直に打ち明けたおかげで見つかった仕事です。
その他にも、子供の受験でお金について悩んだ時も、ママ友に正直に打ち明けたら、アドバイスをくれました。

反対に自分から発信しないときは、うまくいかなかった経験もあります。
例えば、主夫になった当時でママ友がいなくて、つらかった時代がありました。
勝手に周囲のママさんとの間に壁を作ってしまっていました。
でも自分から声をかけて発信したら、もちろん壁などなく、すぐにママ友ができました。


お金や将来の不安はあると思います。
でも深く考えすぎずに、周囲に自分から発信していけば、意外と何とかなりますから。
ぜひやりたいことを諦めずに、生きてほしいです。