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お金とわたし
「借金1000万円を抱えた銀行員が語る“お金に対する価値観”」 by メリル

今回はnoteにて銀行員が借金1000万円をかかえ、見事更生を果たしたエピソードで有名となった、メリルさんに「お金に対する価値観」を取材しました。

「お金は別に好きでも嫌いでもないですよ。あくまで手段なので。」

以外にもお金に対してドライな価値観をもつメリルさんの、お金に対する付き合い方を、借金を抱える以前からお伝えします。

ぜひあなたの「お金に対する付き合い方」を考えるきっかけとしてご覧ください。

小売業を営む実家で培われた「お金は稼いで得るもの」という価値観


ー本日は取材よろしくお願い致します。 早速ですが、ギャンブルにハマる以前での「お金に対する価値観」を教えてください。

私のお金に関する価値観は「お金は稼がないと手に入らない」というものでしたね。

私の実家は小売業を営んでいたので、小さい頃から、両親が物を売る代わりにお金をもらう姿を見てきたからだと思います。

私自身もお客さんにご挨拶したり、食卓での会話も「今日は○○さんが××を買ってくれてさ~」とか商売のお話がしょっちゅうでしたからね。


ー「お金は稼いで得るもの」という価値観は実家での商いが根付いているのですね。その価値観はギャンブルにハマった後も変わらなかったのですか?

基本的には変わらなかったですよ。今でも「お金は誰かに何かを提供して稼ぐものだ」と思っています。ただギャンブルを始めることでお金の新しい一面が見えたことも確かですね。

「お金ってこんなに簡単に手に入るんだ」というお金の一面を知る


ーギャンブルを始めたことで、どのようなお金の新しい一面を知ったのでしょうか?

一言で言うと「あれ?お金ってこんな簡単に手に入るんだな」という感覚です。

というのも大学時代に友達から誘われてパチスロを始めたことがギャンブルのきっかけだったのですが、意外にも勝てちゃったんですよね。


ーどのくらいギャンブルで勝てたのですか?

大体月に10万ぐらいですかね。どのスロットが出やすいのか?出やすい台があるお店の分析や収支管理をしっかり行っていたのも要因かと思います。

学生の頃は時間もあって一番ギャンブルにのめりこんでいました。


ー学生の頃は何が楽しくてギャンブルにのめりこんでいったのですか?

もちろん勝ったら楽しいという点が大きいですが、他にも「お金が貯まっていくのが好きだった」という点もあります。

だから収支を管理して、手元にあるだけ全部使ってしまうような浪費癖もありませんでした。


ー聞けば聞くほど、なぜ1000万円もの借金を作ってしまったのだろうと思います。一体なぜですか??

それはギャンブルをすることの目的が変わっていったからです。

ストレスを発散のためのギャンブル生活の始まり


ーギャンブルの目的が変わったとは?どのように変化したのでしょうか?

目的が、「お金を貯めること・勝つこと」から「現実逃避の暇つぶし・ストレスの発散」へ変わってしまったんです。

『銀行員が借金1000万円に堕ちて這い上がる話』でも触れていますが、慣れない職場環境などからストレスが溜まっていき、ギャンブルでストレスを発散するようになってしまったのが原因でした。

その結果、収支管理もせずに、時間さえあればギャンブルに没頭する日々となってしまって、そこからは早かったです。


ーストレスを解消するためにお金を使い始めてしまったということですね。

そうですね。お金は誰かに何かを提供して得るものという価値観は変わっていないんです。ただお金の使い方が学生の頃と変わってしまっていたと、今振り返ると思います。


ー価値観は変わっていないのに、なぜ借金を止められなかったのですか?

途中から返済する金額を考えるのが嫌になってしまったからですかね。正直100万円くらいまではなんとかなるだろうと考えていました。

だからドキドキしつつも目先の資金繰りを優先して、最初は借金をし始めました。

でもそうやって少しずつ借金を続けていくうちに100万円を超え出して、そうなると月々の返済額さえクリアすれば、もうどうでもいいやと考えるのを放棄してしまいました。

感覚としては、自分が届かない目標とか数値は逆に諦めちゃうやつに似ていると思います。

あともう一つ借金を止められなかった理由は人付き合いを断れない性格もあります。見栄っ張りなんだと思います。

銀行員ゆえに飲み会も多くて、プライベートの人付き合いなども断ればいいのですが、全部参加していました。借金があるのに生活水準は落とさずそのまま、その結果、借金も増えていました。


ー銀行員ってその辺のお金管理はきちんといているイメージだったのですが、そうでもないのでしょうか?

いや基本的にはお金の管理をできている人がほとんどだと思いますよ。ただ、だからといって借金をしない人がゼロかというと話は別ですね。

よく年齢が上の人の若い時の話で、カードローン使って飲み会していたという話は聞いたことがありますよ。

銀行員って各部署・各チームなど飲み会などが頻繁にありますからね。

「あっさすがにやばいかも」とふと気づいた借金地獄からの転機


ーいつ借金生活からの更正が始まったのですか?

これ実はふと沸いてきました。特に大きなきっかけもありません。

新年って「今年はこれ実現するぞ」とか自分の生活を見つめ直すじゃないですか。それと同じ感じで新年に「さすがにそろそろ本腰入れて借金返済しないとやばい」と感じたんです。金額が1,000万円超えていたのもあったと思います。

そこからは妻や友人に告白して、周りの協力を得ながら借金更正を始めました。

収支をきちんと管理して妻に報告したり、妻や友人に協力してもらって一人の時間を無くしたりと、お金の使い道や行動を変えることで、更正を始めていきました。

こちら借金生活からの更正ポイントなどは『銀行員が借金1000万円に堕ちて這い上がる話』をご覧ください

「お金自体が悪いわけではないし、借りることも悪くない」


ー一度借金地獄に陥ってしまったわけですが、今考えて借金することに関してどう思いますか?

借金すること自体は一概には悪いことでもないと思います。例えば住宅ローンは悪い借金じゃないですし、中には借りざるを得ない人も絶対いるじゃないですか。

だから借金に頼らなくても生きていける人たちが、借金に頼らないと生きていけなくなるような借り方・行動をすることがまずいのだと思います。


ーあくまで借金やお金が悪いのではなく、使い方が悪いということですか?

はい。お金って結局は手段に過ぎない。大切なことはお金を使って何をするのか?です。

私の場合には、お金をストレス発散のためだけに全部使ってしまったのが良くなかっただけで、やはりお金が悪いとかそういう価値観は一切ないですね。


ー、、、お金は好きですか??

ざっくりした質問ですね(笑)正直好きでも嫌いでもないです。

さっきも話しましたが、お金って何かしようと思ったときの1つの手段に過ぎないと思っているので。

特に最近Twitterとか見ていると楽しそうな人たちって、いくらで○○しますとかじゃなくて、「これ面白そうだからやります」とか、お金よりも得られる経験で物事を判断することが多くなっていると思います。

だからお金があれば何でもできそうだから、お金大好きとか全く思わないですね。

ただ、もうお金のことで悩みたくはないなとは思いますけど。


ーやはり借金地獄に陥っていた時などは、お金に悩まされていたのでしょうか?

それはもちろんお金のことで悩みは絶えなかったですよ。

でもそれもお金が嫌いというよりは、借金に悩む自分自身が嫌いでした。

飲み会に誘われても行くかどうか悩むとか、借金を隠していることが周囲にバレないか?とびくびくしている、そんな自分自身が嫌でたまらなかったです。


ーメリルさんにとってお金を稼ぐ理由って何なのでしょうか?

私にとっては、何事においてもお金がボトルネックになって、やりたいことを諦めたくないからですね。

例えば私は人生の中で子供が欲しいなあと思うことがあるのですが、お金があれば必ず子供ができて幸せになれるとは限らないじゃないですか。

だけど、お金を理由に好きなことをさせてあげられないということが出てくるのは嫌なので、お金を稼いでいきたいですね。


ー「お金をやりたいことのボトルネックにしたくない」良い言葉ですね。この価値観も実家の商いを見てきた影響でしょうか?

そうですね。両親がお金を理由に何かができないということがないように育ててくれたという点もありますし、借金時代に返済が優先になってしまって、やりたいことをお金のせいで諦める経験をした影響もあると思います。

両親のおかげでお金に不自由な生活は送ってこなかったので。

お金はまた稼げばいいけど、時間は戻りません。なので、あの借金地獄からの更正時代の数年間のせいで、後々やりたいことが出来なかったと判明した日には、ちょっとショックを受けるかもしれません。

最後に、お金を原因にやりたいことへ一歩踏み出せない人が目の前にいたら、なんと声をかけますか?

本当にお金が原因かを考え直してみて欲しいです。お金がないとできないことがあるということ、お金があったら・・・と願う気持ちはわかるのですが、一歩目にあるハードルはお金ではないことが多いのではないかと思っています。

僕も、お金の問題から逃げてしまいました。表面的には借金やストレスが原因ですけど、問題は自分の考え方や行動にあって、自分のダメな行動を認識し、告白して、ようやく前を向き、ここまで来れたわけです。

例え大金を手にしてすぐにお金を返していたとしても、自分が変われていなければ同じ過ちを繰り返したかもしれません。

そう考えると、変えられるのは自分の行動からなんじゃないかと思います。例えば、本当にやりたいことであれば、お金が本当にネックでやりたいことができないとしたら、誰かから借りるでも投資してもらうでも、必要なお金を集めるために必死にアイディアを出して、行動したり、実現しようとしている人がいます。覚悟が違うなってことです。

なので、お金を原因にしているひとは、本当にお金のせいでやっていないのか?変えられることはないかと考えてほしいと思います。


ギャンブルで借金を1000万円かかえるとは、一体どんなお金に対する価値観なのだろうと思っていたが、いたって真面目な方でした。むしろ人一倍「お金と向き合っている」そんな印象を受けました。

  • 「お金は一つの手段に過ぎない。好きでも嫌いでもない」
  • 「お金がやりたいことのボトルネックにならないように稼いでいく」
  • 「本当にやりたいことならば、覚悟を決めて必死に行動しているはずだ」

あなたにとってのお金とは一体何なのか?ぜひ一度考え直してみてはいかがでしょうか。

PROFILE

メリルさん(仮名)(30代 男性)

  • Twitter

銀行員でありながらギャンブルで借金1000万円を背負ってしまうものの、見事に更正を遂げた。
note:メリル