借金の返済が難しくなり、任意整理を検討するという人も少なくありません。
しかし、任意整理がどういったもので、どのように行うかを正確に把握している人は、そこまで多くないのではないでしょうか。
そこで今回は、任意整理について1からお話ししていこうと思います。
この記事を読んで頂ければ、任意整理についてはもちろん、任意整理に向いている人や実際の流れなど、具体的に把握して頂けると思います。
1.任意整理とは
1-1.任意整理の内容
1-2.その他の債務整理
2.任意整理のメリット
3.任意整理のデメリット
4.任意整理の気になる3つの疑問
疑問1.クレジットカードは使えなくなる可能性が高いです
疑問2.将来的にはローンを組める可能性も十分にあります。
疑問3.今あるローンは残せます。
5.任意整理に向いている人
6.任意整理の費用
着手金
成功報酬
7.任意整理の方法
8.まとめ
1.任意整理とは
任意整理とは、債務整理の1つであり、借金の返済を楽にする方法になります。
債務整理には、
- 自己破産
- 個人再生
- 任意整理
- 特定調停
という4つの種類があり、いずれも借金の返済を楽にするための方法になります。
それでは、任意整理について、もう少し詳しく見ていきましょう。
1-1.任意整理の内容
任意整理は、裁判所を通さずに債権者(お金を貸している人)と債務者(お金を借りている人)が直接交渉し、借金の金額を減らしたり、借金の利息を減らしたりする方法になります。
任意整理をした場合、最も一般的な流れは次のようになります。
- 今後の借金の利息をカット
- 過払い金を借金返済に充てる(過払い金が多い人はこれで借金がなくなります)
- 残った借金を3年かけて返済していく
もちろん、債権者と交渉する必要があるため、上記の内容よりも良くなる場合も悪くなる場合もありますが、基本的には上記のようになります。
債権者との交渉は、基本的に専門知識が必要なため、司法書士や弁護士に依頼して、手続きを行う事になります。
1-2.その他の債務整理
債務整理には、任意整理以外にも次の3つの方法があります。
自己破産
裁判所を利用して、借金を全額免除してもらう方法。
借金を全額免除してもらう代わりに、デメリットも大きい。
個人再生
自己破産と任意整理の中間に位置する債務整理で、裁判所を通して行う。
借金を5分の1~10分の1にすることができ、自己資産をすべて手放さなくて良いなど、デメリットも自己破産ほど多くない。
特定調停
任意整理の簡易版であり、過払い金などを使い借金の返済を楽にする方法。
手続きが多少複雑であったり、任意整理程の効力がない分、債務整理の中で最も利用後のデメリットが少ない。
つまり、裁判所を通さない方法(官報に乗らない)で、もっとも借金を楽にできる債務整理が、任意整理になります。
2.任意整理のメリット
任意整理には、主に次の6つのメリットがあります。
- 過払い金を使って借金の元金を少なく出来る
- 任意整理以降は利息が付かないように出来る
- 自分のペースに近い形で借金の返済が出来るようになる
- 任意整理する債務を選ぶことが出来る
- 催促の電話や手紙をいったんストップ出来る
- 新聞(官報)に載らない
このように、任意整理を利用することで、借金の返済を楽にし、自分のペースで借金を返していけるようになります。
3.任意整理のデメリット
任意整理には、主に次の4つのデメリットがあります。
- 俗に言うブラックリストに載る(5~7年はお金を借りれない)
- 過払い金が多くない場合、借金を自力で返す必要がある
- 5~7年はクレジットカードを持てなくなる
- 任意整理の手続きに応じてくれない業者がある
任意整理は、基本的に借金の返済を楽にする方法であり、借金の額を減らす方法ではありません。
そのため、借金の返済は続ける必要がありますし、ブラックリストにも載ってしまいます。
ただ、その分任意整理によって受けるデメリットはブラックリストに載るくらいしかありません。
4.任意整理の気になる3つの疑問
ここから、任意整理をする際に気になる疑問を3つご紹介していきます。
- 疑問1.クレジットカードは使えるか
- 疑問2.今後ローンは組めるかどうか
- 疑問3.今あるローンは残せるか
疑問1.クレジットカードは使えなくなる可能性が高いです
任意整理をした時点で、クレジットカード会社にその事実を報告する義務があるため、通常はその時点でクレジットカードの利用が出来なくなります。
仮に、クレジットカード会社に任意整理の事実を報告しなくても、クレジットカードはランダムに審査を行っているため、その時点で使えなくなります。
しかし、クレジットカード会社が、そのまま利用しても問題ないと判断した場合に限っては、任意整理後もクレジットカードを使えますが、基本的に使える事はないと考えておいて間違いないです。
疑問2.将来的にはローンを組める可能性も十分にあります
任意整理をしてから5~7年は、新たなローンを組む事は出来ませんが、それ以上の時間が経過すると、人によっては車や住宅などのローンが組めるようになります。
任意整理中や任意整理後に、計画的に貯金を行い収入を安定させることで、新たなローンを組む事も可能です。
疑問3.残したいローンは残せます。
任意整理は、債権者と直接交渉を行うため、任意整理するものと任意整理しないものを自分で選ぶことが出来ます。
そのため、A,B,C社からお金を借りている場合、A,B社は任意整理を行い、C社は任意整理しないという事も可能です。
5.任意整理に向いている人
任意整理に向いている人は、次の3つの項目に当てはまる人になります。
- 借金の金額が返済できる額である
- 借金を自力で返済していく気持ちがある
- 債務整理のデメリットを少しでも小さくしたい
上記の3点に当てはまっており、先ほど挙げた任意整理のデメリット等も問題なければ、任意整理を検討してみる価値は十分にあると言えます。
任意整理に限らず、債務整理を行う場合は、必ず専門家に相談してみることをおすすめします。
特に過払い金がある場合は、その金額によってとるべき行動も変わってきますので、無料相談センターなどで、1度相談するようにしてみてください。
6.任意整理の費用
任意整理には、次の2つの費用が掛かります。
- 着手金
- 成功報酬
ここは少し分かりにくいので、それぞれ見ていきます。
着手金
着手金とは、弁護士や司法書士に対して、業者との交渉を開始してもらうためのお金になります。
着手金を支払う事で、業者との交渉期間に入るため、催促を一時的にストップさせることが出来ます。
着手金は、任意整理を行う業者が多くなると、10万円以上することもあるため、分割で支払う事も可能にしている司法書士事務所や弁護士事務所も少なくありません。
また、この期間中は借金の利息や支払いもストップ出来るため、着手金を払い終わった後に、借金の返済を始める事ができます。
成功報酬
成功報酬とは、借金の元金が少なくなった際に発生するお金になります。
多くの場合、少なくなった金額の20%前後を成功報酬として支払います。
例えば成功報酬が20%の場合、任意整理によって、100万円あった借金が80万円になったとすると、20万円借金が少なくなっているため、20万円の20%である4万円を成功報酬として支払う事になります。
任意整理では、過払い金を使って借金の元本を減らすため、過払い金から成功報酬を引かれた金額が過払い金として手元に戻る(借金の返済に充てられる)ため、新たにお金を用意する必要はありません。
7.任意整理の方法
任意整理は、司法書士や弁護士に依頼するだけで、自分でやる作業はほぼ終わりになります。
そのため、任意整理の流れを簡単に記載しておきます。
- 司法書士もしくは弁護士に依頼する
- 業者との交渉開始(この時点で、催促・利息・返済は一時中断)
- 着手金を司法書士(弁護士)に支払う(多くの場合分割払いに変更可能)
- 任意整理完了(着手金の支払いが終われば、任意整理が完了します)
- 成功補修の支払い(過払い金から成功報酬が引かれるため、過払い金がなければありません)
- 借金の返済開始(原則利息はカットされるため、借金の元本を返済していくことになります)
8.まとめ
簡単に、この記事の内容をまとめていきます。
- 任意整理とは債務整理の1つである
- 借金の減額に重きを置いたものではない
- 借金の自力返済が基本になる
- ブラックリストに載る
- 基本的に専門家に依頼して行う